杣之内古墳群

杣之内古墳群

杣之内古墳群は、奈良県天理市に位置し、石上神宮の南、山辺の道沿いに分布する古墳群です。この古墳群は、杣之内町、勾田町、乙木町に点在しており、布留川の南に位置する丘陵を利用して築かれています。布留遺跡を挟んだ北側には石上・豊田古墳群、南側には大和古墳群の北枝群である萱生古墳群が所在しています。

特徴

この古墳群の特徴として、墳丘の形が前方後円墳から巨大円墳、そして円墳へと推移している点が挙げられます。被葬者については、物部氏との関連が指摘されています。

主な古墳

西山古墳

古墳時代前期に築造された、墳丘長183メートルの日本最大の前方後方墳です。

小半坊塚古墳

西山古墳の北約200メートルの場所に位置していた前方後円墳で、全長92メートル。後円部直径52メートル、前方部を西に向けていました。西山古墳と同様に古墳時代前期の築造でしたが、第二次世界大戦中に消滅しました。

小墓古墳

前方部を南西に向けた前方後円墳で、古墳時代中期の築造。全長約80メートルで、現状の高さは6メートルですが、上部が削平されているため本来の高さは不明です。1978年の発掘調査では、周濠から埴輪状木製品が出土しています。

笠神山古墳

全長45メートルの前方後円墳で、前方部を北西に向けています。古墳時代中期に属します。

西乗鞍古墳

古墳時代後期（6世紀前半）の築造とみられる前方後円墳。全長120メートル、高さ18メートルで前方部を南に向けています。古墳の周囲には空濠がめぐり、発掘調査の結果、前方部の南側に幅約20メートル深さの溝が確認されており、外濠とみられています。

東乗鞍古墳

古墳時代後期（6世紀中葉）の築造とみられる前方後円墳。全長約75メートル、高さ10メートルで前方部を西に向けています。長さ14.6メートルの南に開口した横穴式石室を有しています。

塚穴山古墳

西山古墳のすぐ北に隣接する径64メートルの円墳で、古墳時代終末期の築造とみられています。天井石は失っているものの、全長17メートルの石室を有しています。羨道部分に同じ大きさの巨石を並べる方法は、明日香村の石舞台古墳と共通しています。

峯塚古墳

西山古墳から東に約500メートルほどの場所にある径35メートル、高さ6メートルの2段構築の円墳で、墓地の下に位置するため墓山とも呼ばれます。古墳時代終末期（6世紀末から7世紀前半）の築造で、「岩屋山式」といわれる整美な巨石を用いた横穴式石室で知られています。墳丘には切石を用いた葺石がなされています。

保昌塚古墳

現状は直径約17メートル。著しく削平されており、本来の形や大きさは不明な点が多いですが、直径25メートルから35メートル程度の円墳であるとの調査結果があります。

文化財

国の史跡

2018年2月13日、既指定の史跡「西山古墳」に西乗鞍古墳が追加指定され、名称が「杣之内古墳群」に変更されました。

参考資料

『大和の古墳 I』人文書院
『大和の古墳を語る』臨川書店
天理市ホームページ 古墳ガイド
天理大学歴史研究会ホームページ

関連項目

奈良県の古墳一覧
奈良県の史跡一覧

外部リンク

天理市ホームページ・西山古墳
天理大学歴史研究会ホームページ

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