杣街道

杣街道（そまかいどう）について

杣街道は、近江国甲賀郡の三雲村（現在の滋賀県湖南市三雲）と、伊賀国阿拝郡の上柘植村（現在の三重県伊賀市柘植町）を結ぶ重要な交通路です。この街道は東海道と大和街道にそれぞれ接続しており、その地理的位置からも交通の要所としての役割を担ってきました。一般的には「杣道」とも呼ばれており、様々な歴史的背景を持っています。

歴史的背景

杣街道は、元々は三雲の横田渡で野洲川を渡らずに杣川沿いを南へ進むルートとして発展しました。この区間は近江朝時代の東海道の一部であり、「倉歴道」とも称されていました。その後、上柘植からは大和街道を経由して、加太越を通じて伊勢国鈴鹿郡新所村に至ります。この道は壬申の乱後、一度は使用されなくなりましたが、886年（仁和2年）まで再び東海道としての重要性を取り戻しました。

その後、杣街道は湖南から伊賀へ抜ける道として伊勢参宮の間道や、山伏の修行道など多様な使われ方をされました。江戸時代に入ると、17世紀ごろには三雲から西へ進む現在のルートが確認され、1742年（寛保2年）には「杣海道」という名称が記録に残るようになりました。

現代のルートが整備されたのは明治20年代であり、当時は「新海道」として知られていました。この道の重要性はさらに高まり、1889年に関西鉄道が沿線を通過し、1907年には国有化されて現在のJR草津線と繋がることになります。

杣街道の経路

杣街道は、以下の経路をたどります：

1. 三雲（湖南市） - 東海道から分岐
2. 三本柳（甲賀市水口町）
3. 深川市場（甲賀市甲南町）
4. 寺庄（甲賀市甲南町）
5. 大原市場（甲賀市甲賀町）
6. 上野（甲賀市甲賀町）
7. 倉歴峠
8. 上柘植（伊賀市柘植町）- 大和街道に合流

このルートは、かつての交通路としての役割だけでなく、地域の人々にとっても重要な生活道路となっています。歴史的に見ても、杣街道は多くの人々の往来を支え、文化や商業の発展に寄与してきた経路です。

今から見る杣街道

近年、杣街道は観光地としても注目されており、その歴史を感じながら歩くことができるコースとして多くの人が訪れています。また、周辺には自然や文化遺産も多く点在しており、歴史的な価値を再確認できる場所でもあります。人々の生活や歴史と密接に関わってきたこの道は、今もなお多くの人々に利用され続けています。

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