来迎院 (京都市左京区)
来迎院の概要
来迎院は、京都府京都市左京区大原来迎院町に位置する天台宗の寺院です。山号は魚山で、本尊には薬師如来が祀られています。古くからの歴史を持つこの寺院は、多くの仏教文化や伝統を体現しています。
歴史
来迎院の創建は平安時代前期にさかのぼります。慈覚大師円仁によって設立されたとされ、天台声明の道場としての役割を果たしました。その後、天仁2年（1109年）には聖応太師良忍が入寺し、寺の再興に寄与しましたが、これに関する確かな史料は存在しません。
寺院内には勝林院を本堂とする下院と、来迎院を本堂とする上院が成立し、この二つの院をまとめて「魚山大原寺」と呼ぶようになりました。以来、大原で伝承されている声明は、「天台声明大原流」や「天台声明魚山流」という名前で親しまれています。
来迎院は過去に何度も焼失しましたが、そのたびに再建されました。現在の建物は、天文2年（1533年）に再建されたものです。また、江戸時代には江戸幕府から朱印状を受け取るなど、その信仰の深さを示しています。
文化財
来迎院には多くの貴重な文化財が残されています。その一つが「伝教大師度縁案並僧綱牒」で、これは国宝に指定されています。この文書は、最澄（伝教大師）の得度や受戒に関する重要な資料であり、3つの文書から構成されています。近江国府からの得度記録や、最澄の身体的特徴を記した文書が含まれており、東京国立博物館に寄託されています。
また、来迎院には「日本霊異記 中下 2帖」の資料もあり、これは平安時代後期の古写本で日本文学史上重要な存在です。現在、こちらも京都国立博物館に寄託されています。重要文化財には木造薬師如来坐像、木造阿弥陀如来坐像、そして木造釈迦如来坐像があり、本堂に安置されています。さらに、来迎院の経蔵には聖教や文書類があります。
交通
来迎院へは、京都バス大原バス停から徒歩約15分の距離にあります。大原の自然豊かな環境の中に位置づけられ、静かなひと時を過ごすには最適な場所です。
参考文献
関連項目
詳細な情報については、京都市観光文化情報システムや国立国会図書館の近代デジタルライブラリーをご覧ください。
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