東よか干潟

東よか干潟について

東よか干潟は、佐賀県佐賀市の東与賀町大授搦に位置する独特の干潟で、日本国内でも特に重要な水鳥の渡来地として知られています。この地域は、環境省の調査によると、日本国内で最も多くのシギ・チドリ類が飛来することが確認されており、ラムサール条約にも登録されています。特に、紅葉する塩生植物の「シチメンソウ」が自生しており、秋には美しい黄色や赤色に染まります。

名称と範囲

この干潟には複数の呼称があり、1982年の書籍では「大授搦先の干潟」、さらに他の調査や文献では「大授搦地先」と表現されることもありました。それに対し、2015年に鳥獣保護区として指定され、「東よか干潟」という名称が正式に使われるようになりました。具体的には、東与賀海岸防波堤の西端から東端、及び隣接する西川副海岸防波堤に沿った区域が対象とされています。特に防波堤の海側天端から50メートル沖以遠は特別保護地区として指定され、ラムサール条約湿地にも指定されています。

地理

有明海の奥部に広がるこの干潟は、潮汐が大きく、さまざまな河川が流入しています。近隣の海岸は干潟が広がり、地元の漁業者たちは独自の漁法で海の幸をわせています。特に干潟で見られる生物には、ワラスボやムツゴロウ、ウミタケなどがおり、それらは地域の伝統的な食文化の一部となっています。この地域では、過去には牡蠣の養殖も行われていましたが、現代の食生活の変化により漁獲数は減少しました。

保全活動

東よか干潟は、その自然の豊かさから、多くの保全活動が行われています。地元住民を中心にした団体が干潟の観察やシチメンソウの保全活動を行い、地域の生態系を守る努力が続けられています。また、観光客が訪れる場としても重要であり、多くの人々が水鳥観察や自然の学びを楽しむことができます。

特にシチメンソウの保全には力が入れられ、地元の小中学生も参加して種子採取や植栽作業に従事しています。このような地域参加型の保全活動が進むことで、東よか干潟は環境教育の場としても注目されています。

課題

しかし、東よか干潟は様々な課題にも直面しています。具体的には、ノリ漁場でのカモ類による食害が問題になっており、多くの漁師が「バリカン症」と呼ぶこの現象への対策が求められています。また他の干潟の減少に伴う水鳥の過密化のリスクも懸念されることがあります。これに対し、防護網や音声装置を用いるなどの対策が実施されていますが、完全な解決には至っていません。

生息する生物

この干潟には多様な生物が生息しています。水鳥の中には、ダイサギやオオソリハシシギ、ズグロカモメなどが見られ、特にシギ・チドリ類は干潟生態系の指標とされています。また、底生動物には多くの種類の貝や蟹、魚類が生息し、これらは水鳥にとって重要な栄養源となっています。

観察拠点

東よか干潟にはビジターセンターがあり、さまざまな展示を通じて来訪者に自然の魅力を伝えています。ここでは自然観察のための情報提供や地域の特産物の販売が行われており、地域の経済にも寄与しています。

交通アクセス

アクセスはJR長崎本線の佐賀駅から車で30 - 35分、または佐賀空港からも近いため非常に便利です。訪れる際には潮の満ち引きを確認し、最適な観察時間を選ぶことがおすすめです。

以上のように、東よか干潟は自然環境の保護、地域振興、教育活動が融合した地域であり、今後もその生態系を守り育てる取り組みが続けられていくことが期待されます。

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