東ティモール国防軍

東ティモール国防軍

東ティモール国防軍（F-FDTL）は、東ティモールを統率する軍隊です。大統領が国防評議会を通じて統率し、外部からの攻撃に対する防衛と、国内の治安維持を主な目的としています。しかし、国家警察との職務重複による士気低下や規律の緩み、慢性的な資金不足、装備の老朽化など、多くの問題を抱えています。

歴史

国防軍の起源は、1974年にフレティリンが組織した東ティモール民族解放軍（FALINTIL）に遡ります。独立運動の過程で重要な役割を果たしましたが、独立後の国軍のあり方については議論がありました。当初、フレティリンの一部指導者は軍隊を持たないことを提唱していましたが、1999年の独立住民投票後の治安悪化により、方針転換を余儀なくされました。

2000年、国際連合東ティモール暫定行政機構（UNTAET）は、東ティモールの治安維持のために軍事専門家を派遣しました。キングス・カレッジ・ロンドンの報告書は、大規模な警察と軍隊の創設が治安悪化に繋がったと指摘しています。また、フレティリンの司令部が国軍指導部の選出に関与していたことも、混乱の一因となりました。

2006年には、西部出身の兵士が昇進や給与における差別を訴えストライキを起こし、政府との間で衝突が発生しました（2006年東ティモール危機）。この混乱を収拾できず、当時の首相が辞任する事態となりました。2008年には、元国防軍兵士による大統領暗殺未遂事件が発生し、国防軍の活動は一時的に縮小されました。

対外防衛関係

東ティモールは、軍事力において周辺国と比較して劣勢であるため、周辺各国との防衛協力が不可欠となっています。中国からはジャコ型巡視船の借与を受けていますが、透明性の欠如や性能への懸念から国内で議論を呼びました。オーストラリアとはガーディアン級巡視船の借与契約を結び、海軍基地の改修支援を受けています。アメリカとは、国防軍基地とバウカウ空港の改修に関する防衛協定を締結し、海洋監視能力の向上や災害対応能力の強化を目指しています。2023年6月には、アメリカからセスナ206が寄贈されました。

編制

陸軍の兵員数は約2,200名で、2個軽歩兵大隊、1個兵站支援中隊、1個憲兵小隊で構成されています。海軍の兵員数は約80名と小規模です。

保有艦艇

ディリ級哨戒艇 ×2隻
ジャコ級哨戒艇 ×2隻（中国製062型哨戒艇、2010年就役）

就役予定

アイタナ級哨戒艇 ×2隻（オーストラリア製ガーディアン級哨戒艇、2024年後半に引き渡し予定）

退役艦艇

オエクシ級哨戒艇 ×2隻（元ポルトガル海軍アルバトロス級哨戒艇、2002年にポルトガルより贈与）
カメナッサ級哨戒艇 ×1隻（元韓国海軍チャムスリ級哨戒艇、2011年9月に韓国より贈与、2022年退役）

空軍は、セスナ172とセスナ206をそれぞれ1機ずつ保有しています。

現状と課題

東ティモール国防軍は、独立後の国家建設において重要な役割を担ってきましたが、依然として多くの課題を抱えています。限られた予算、装備の老朽化、人材育成の遅れなど、克服すべき問題は山積しています。周辺国との防衛協力の強化、軍事力の近代化、国民からの信頼獲得などが、今後の発展に向けた重要な課題となるでしょう。

関連項目

インドネシア国軍
* モルディブ国防軍

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