東乙彦

東 乙彦

東 乙彦（ひがし おとひこ）は、明治から昭和初期にかけて活動した日本の陸軍軍人です。1870年8月5日（明治3年7月9日）に山口県で、東文吾の次男としてこの世に生を受けました。軍人としてのキャリアを積み上げ、最終的には陸軍中将の階級に至りました。

生涯と軍歴

山口県で生まれた東 乙彦は、若くして軍人の道を志しました。1893年（明治26年）に陸軍士官学校で学びを終え、翌1894年（明治27年）には陸軍砲兵少尉に任じられ、軍務の第一歩を踏み出しました。この年、位階は正八位に叙せられています。

さらなる知識と技能を磨くため、1897年（明治30年）に陸軍大学校に入学しました。3年間厳しい研鑽を積み、1900年（明治33年）には陸軍大学校を第14期生として卒業。エリートとしての道を確固たるものとしました。

陸大卒業後も砲兵将校としての経験を重ね、1907年（明治40年）には陸軍砲兵中佐へと昇進しました。翌1908年（明治41年）には重要なポストである英国大使館附武官として海外勤務を経験し、国際的な視点や情勢に関する知識を深めました。帰国後は1910年（明治43年）に参謀本部附となり、軍の中枢でその能力を発揮しました。

部隊勤務にも就き、1911年（明治44年）には野砲兵第8聯隊隊長を務めました。1913年（大正2年）には陸軍砲兵大佐に進級。その後、1915年（大正4年）には第4師団参謀長を補佐する立場に就き、より広範な作戦や部隊運営に関わるようになりました。

将官への昇進は1917年（大正6年）でした。陸軍少将となり、同時に基隆要塞司令官に着任。台湾の防衛拠点における指揮を執りました。翌1918年（大正7年）には、台湾総督府陸軍参謀長、さらには支那公使館附武官という重要な役職を務め、台湾の軍事行政や中国大陸での情報収集・外交に関与しました。

1922年（大正11年）には陸軍中将へと昇進し、下関要塞司令官に就任しました。この年、位階は従四位に叙せられています。翌1923年（大正12年）には待命となり、軍務から離れて予備役に編入されました。その後、1933年（昭和8年）には後備役に回りました。

晩年

予備役、後備役として過ごした後、東 乙彦は1936年（昭和11年）10月13日にその生涯を閉じました。享年66歳でした。

栄典

東 乙彦が叙せられた主な位階は以下の通りです。

1894年（明治27年）5月1日 - 正八位
1922年（大正11年）9月11日 - 従四位

家族

妻は関義臣氏の次女である貞子氏です。また、関義臣氏の三男である義胤氏を養子に迎えています。養子の義胤氏は後に帝都高速度交通営団の理事を務めるなど、社会的な活動を行いました。

東 乙彦は、士官学校から陸軍大学校へと進み、砲兵将校として経験を重ねる中で、海外駐在や要職を歴任し、最終的に中将に至った、明治・昭和期の日本陸軍における重要な軍人の一人です。そのキャリアは、当時の陸軍エリート将校の歩みを示す典型的な例と言えるでしょう。彼の功績と経歴は、日本近代史における軍事の一端を理解する上で欠かせないものです。

もう一度検索