東京クヮルテット

東京クヮルテット（Tokyo String Quartet）

東京クヮルテットは、アメリカ合衆国のニューヨークを活動の本拠地としていた国際的な弦楽四重奏団です。1969年に結成され、44年間にわたる活躍の後、2013年6月に解散しました。

設立と初期の歩み

設立は1969年、ニューヨークのジュリアード音楽院にて。創設メンバーは、第1ヴァイオリンの原田幸一郎氏、第2ヴァイオリンの名倉淑子氏、ヴィオラの磯村和英氏、チェロの原田禎夫氏。彼らは全員日本人で、桐朋学園大学卒業後、斎藤秀雄氏に師事しました。

結成後まもなく、コールマン国際弦楽四重奏コンクールやミュンヘン国際音楽コンクールで優勝するなど、その実力は国際的に高く評価されました。これにより、世界的なレコードレーベルであるドイツ・グラモフォンとの契約を獲得します。武満徹氏の弦楽四重奏曲『ア・ウェイ・ア・ローン』の世界初演も、彼らの重要な業績です。

メンバーの変遷と活動の継続

活動中にメンバー交代を経験しましたが、特に1981年の第1ヴァイオリン、原田幸一郎氏の脱退は大きな転機でした。残ったメンバーは活動継続を決め、国籍にとらわれず、若きピーター・ウンジャン氏を新たな第1ヴァイオリニストに迎えます。この頃、所属レーベルはBMGクラシックスに移りました。

実績と評価

彼らは40点以上の録音を発表し、モントルー・ディスク大賞や主要音楽雑誌の年間最優秀賞など数々の賞を受賞しました。クラシック界で権威あるグラミー賞にも7回ノミネートされています。

主な活動

設立25周年の1994年には、世界ツアー中にベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏に挑みました。アメリカのテレビ番組『セサミ・ストリート』にも出演するなど、幅広い活動を展開しました。

2003年からはニューヨークの92nd Street Yを拠点とし、2008年からは3年かけてベートーヴェン弦楽四重奏曲全16曲とピアノ曲を組み合わせたシリーズ公演を開催しました。

教育活動にも熱心で、1976年からはイェール大学音楽院でクヮルテット・イン・レジデンスを務めたほか、世界各地でマスタークラスを開きました。

1995年以降は、日本音楽財団から貸与された、ストラディヴァリウス製の歴史的な名器コレクション「パガニーニ・カルテット」を演奏に使用しました。

活動終了へ

2011年11月、長年クヮルテットを支えたヴィオラ奏者の磯村和英氏（創設メンバー）と第2ヴァイオリンの池田菊衛氏が、2013年6月での退団を発表しました。磯村氏は長年の多忙な活動による肉体的な負担、池田氏は今後の演奏・指導活動に注力したい意向を示しました。

新メンバーを迎えての活動継続も検討されましたが、残されたメンバーである第1ヴァイオリンのマーティン・ビーヴァー氏とチェロのクライヴ・グリーンスミス氏の熟慮の結果、東京クヮルテットは44年間の歴史に終止符を打つことを決定し、2013年6月に解散しました。

歴代メンバー

（加入・脱退年）

第1ヴァイオリン
原田幸一郎（1969年-1981年、創設）
ピーター・ウンジャン（1981年-1995年）
アンドリュー・ドース（1995年-1996年）
ミハイル・コペルマン（1996年-2002年）
マーティン・ビーヴァー（2002年-2013年）
第2ヴァイオリン
名倉淑子（1969年-1974年、創設）
池田菊衛（1974年-2013年）
ヴィオラ
磯村和英（1969年-2013年、創設）
チェロ
原田禎夫（1969年-2000年、創設）
クライヴ・グリーンスミス（2000年-2013年）

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