東京大学大学院情報学環教育部

東京大学大学院情報学環教育部：メディアとジャーナリズムの未来を担う人材育成

東京大学大学院情報学環教育部は、情報、メディア、コミュニケーション、ジャーナリズムに関する専門教育を提供する、学部レベルの2年制教育機関です。1929年設立の東京大学文学部新聞研究室を起源とし、戦後の新聞研究所、社会情報研究所を経て、2004年に現在の情報学環に統合されました。長い歴史の中で培ってきた伝統と、現代社会のニーズを反映したカリキュラムが特徴です。

歴史と変遷：新聞研究室から情報学環教育部へ

教育部のルーツは、1929年に設立された東京大学文学部新聞研究室にまで遡ります。小野秀雄氏による新聞学講座開設の計画は、当時の大学側の反対により頓挫したものの、新聞研究室として発足。その後、戦後の民主化政策を受けて1949年に独立部局の新聞研究所となり、研究と人材育成を両立する独自の教育体制を確立しました。1992年には社会情報研究所に改組され、マスメディアにとどまらない、情報社会全般を対象とした研究・教育へと発展。2004年の大学院情報学環への統合を経て、現在の情報学環教育部へと至ります。

この過程において、教育部の役割やカリキュラムは時代に合わせて変化してきましたが、「質の高いジャーナリズムと情報リテラシーの育成」という根幹は一貫して維持されてきました。

教育課程：実践的な学びと自由な探究

情報学環教育部は、2年間の専門教育課程を提供し、「成績証明書」と「正規の課程の修了証」を発行します。ただし、修士号の取得はできません。これは、実践的なスキルと知識を重視する教育方針を反映しています。

約30名の定員に対し、毎年2月に入学試験を実施。東京大学の学部生だけでなく、他大学や社会人からの入学も認められており、多様なバックグラウンドを持つ学生が集まります。授業は、メディア・ジャーナリズム、情報産業、情報社会、情報技術の4領域を柱として展開。新聞論、出版論、広告論、情報と法、情報技術論など、幅広い分野を網羅した科目が開講されています。午後2時50分から夜8時までの時間帯に設定されているため、学部授業との両立も可能です。

教育部研究生は、東京大学大学院情報学環の学生として、図書館利用やデータベースサービス、大学生活協同組合の利用など、大学生活に必要な環境が整っています。また、独自の学生自治会も存在し、活気ある学習環境が形成されています。講義は主に、安藤忠雄氏設計の福武ホールや情報学環本館で行われ、学生同士の交流を促進する共同スペースも完備されています。

教員陣と卒業生：第一線で活躍する専門家ネットワーク

教育部では、東京大学情報学環の教授・准教授に加え、ジャーナリスト、テレビ・映画・出版関係者、広告代理店クリエーター、映像・放送技術者など、各界の第一線で活躍する専門家を外部講師として招聘しています。卒業生ネットワークも非常に強く、マスコミ各社をはじめとする様々な業界で活躍する卒業生は、学生にとって貴重な人脈となります。

著名な卒業生

渡邉恒雄氏（読売新聞グループ本社）、杉野直道氏（元テレビ東京会長）、濱田純一氏（元東京大学総長）、樋口恵子氏（評論家）、森まゆみ氏（ノンフィクション作家）、澤本嘉光氏（CMプランナー）、草野仁氏（ニュースキャスター）、たかまつなな氏（お笑い芸人）など、各界で活躍する卒業生を数多く輩出しています。

学歴と社会的な位置づけ

教育部課程の修了は、学位授与課程ではありませんが、「正規の課程の修了」を認定する修了証が発行され、学校教育法上の「学生」として認められています。入学金と授業料は非課税であり、大学による健康保険への加入なども可能です。卒業生は、東京大学新聞研究所・社会情報研究所・大学院情報学環教育部同窓会に所属することができます。

まとめ：情報社会をリードする人材育成の場

東京大学大学院情報学環教育部は、単なる教育機関を超え、メディアとジャーナリズムの未来を担う人材育成に貢献する、独自の教育システムを持つ機関です。歴史と伝統、そして革新的な教育理念を融合させた教育課程は、情報社会をリードする人材の育成に大きく貢献しています。

もう一度検索