東京大学柏地区キャンパス

東京大学柏地区キャンパスは、千葉県柏市柏の葉地区に位置し、東京大学の主要なキャンパスの一つです。「柏地区」や「柏キャンパス」とも呼ばれ、最先端の研究が行われています。このキャンパスは、柏・柏II・柏の葉駅前の3つのキャンパスで構成されています。

概要

柏地区キャンパスは、東京大学のキャンパス再編と研究施設の集約化という背景のもと、誕生しました。かつて東京大学は、本郷、駒場、中野の他に、白金、三鷹、六本木、田無など、都内各地に分散したキャンパスを運営していました。しかし、行政改革の流れの中で、これらの地区の一部を廃止し、柏地区に新たなキャンパスを開設することになりました。これにより、研究資源の効率的な活用と、より高度な研究環境の整備が進められました。

三極構造構想

本郷・駒場地区の再開発と並行して、東京大学は「三極構造構想」を策定し、その一環として柏キャンパスが設置されました。この構想に基づき、極限計測、強磁場コラボラトリー、ニュートリノ観測、強磁場MRIなど、世界トップクラスの研究施設が整備されました。2006年には、駒場IIキャンパスから極超音速高エンタルピー風洞が移設され、研究体制が強化されました。また、同年には、留学生や外国人研究者のためのサポートを提供する「柏インターナショナルオフィス推進室」が開設され、国際的な研究交流を促進する体制が整えられました。

柏地区3キャンパス体制

2007年1月、「柏地区キャンパス開発・利用計画要綱」が改正され、従来の柏キャンパスに加え、柏の葉キャンパス駅と柏キャンパスの中間に位置する「柏IIキャンパス」、さらに柏の葉駅前に計画されている「柏の葉駅前キャンパス」が加わり、現在の3キャンパス体制が確立しました。

各キャンパスの詳細

柏キャンパス

柏キャンパスは、理学部や工学部の一部の研究室、理学系研究科、工学系研究科の一部研究室、新領域創成科学研究科などが利用しています。また、カブリ数物連携宇宙研究機構、宇宙線研究所、物性研究所、大気海洋研究所、生産技術研究所附属千葉実験所などの附属施設も置かれています。交通アクセスは、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅から徒歩25分、東武バス利用で13分、東武野田線江戸川台駅から徒歩30分、JR常磐線柏駅から東武バス利用となります。

1995年と1998年に米軍柏通信所跡地を取得して設置されたこのキャンパスは、1999年に物性研究所と宇宙線研究所が移転し、2006年には新領域創成科学研究科の各専攻の移転が完了しました。2004年には、高温プラズマ研究センターを含む4つの全学センターが移転し、2010年には海洋研究所が移転、気候システム研究センターと統合して大気海洋研究所が発足しました。2017年には生産技術研究所附属千葉実験所が移転し、2022年から2023年にかけて東京大学丸和柏 FUSIONフィールドが竣工しました。また、2008年には男女共同参画の観点から東大柏どんぐり保育園が開園、2009年には数物連携宇宙研究機構棟が竣工しました。

特徴として、本郷や駒場のキャンパスとは異なり、門や塀がなく、学園祭も開催されません。しかし、毎年10月下旬には「柏キャンパス一般公開」が開催され、先端研究施設の見学や講演会、サイエンスカフェなどが催され、多くの市民で賑わいます。キャンパス内には「五六郎池」という遊水池があり、カルガモやキジなどの自然環境も保たれています。

柏IIキャンパス

柏IIキャンパスは、総合文化研究科の一部の研究室や新領域創成科学研究科附属生涯スポーツ健康科学研究センターが利用しています。交通アクセスは、つくばエクスプレス線柏の葉キャンパス駅から徒歩15分、JR常磐線柏駅から東武バス利用となります。

千葉県立柏の葉公園に隣接するこのキャンパスは、千葉大学園芸学部旧農場の一部を移管して整備されました。現在は、教職員や大学院生向けのトレーニングジムなどが開放されており、将来的には全天候型陸上競技場、野球場、ホッケー場、テニスコート、体育館、合宿所を備えた総合的な運動施設となる計画です。また、インターナショナルロッジの建設も計画されています。

柏の葉駅前キャンパス

柏の葉駅前キャンパスは、フューチャーセンター、産学連携施設、国際研究支援施設などが置かれています。交通アクセスは、つくばエクスプレス線柏の葉キャンパス駅西口から徒歩1分です。

駅前の利便性を生かし、「産学連携オフィス」、「地域・産学連携ギャラリー」、「国際ホール」などが建設される計画で、2014年4月には柏の葉キャンパス駅前サテライトが完成しました。

まとめ

東京大学柏地区キャンパスは、最先端の研究施設と豊かな自然環境が調和した、国際的な研究拠点です。3つのキャンパスが連携し、教育・研究・社会貢献の各分野で重要な役割を果たしています。一般公開などを通して、地域社会との交流も積極的に行っているキャンパスです。

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