東京戦争

東京戦争（とうきょうせんそう）

東京戦争は、1969年9月30日に東京都で発生した共産主義系の赤軍派による深刻な騒擾事件を指します。この事件は、同年7月に赤軍派が設立された翌月からの一連の激しい闘争の一環であり、最終的には失敗に終わりました。

事件の背景

赤軍派は、革命を目指す武装闘争として「十一月武装蜂起」と臨時革命政府の樹立を提唱し、同じ時期に発生することが期待される大阪戦争、東京戦争の遂行を大学生に呼び掛けていました。1971年の大阪戦争と称される一連のゲリラ闘争が失敗した後、赤軍派はその失敗を踏まえた上で、自らの計画を再構築し、東京戦争を開始する準備を整えていました。

騒乱の詳細

1969年9月30日、約2100名の全共闘派が明治大学に集結。この日夕方には、彼らは学外に出撃し、火炎瓶を投げるなどして機動隊と衝突し、神田や御茶ノ水周辺は混乱に陥りました。全共闘派は、日大紛争に絡む大規模な街頭闘争を引き起こそうとしていたことが事件の背景にあります。

一方、赤軍派は東京大学に集まって火炎瓶を製造し、その後、午後7時頃には警視庁の本富士警察署に向けて攻撃を行いました。既存の警察署へ火炎瓶を投げつけるという行為は、無闇な暴力行為と見なされました。さらに、西五反田派出所に対する襲撃計画もありましたが、厳重な警備に阻まれる形で実行されませんでした。

本富士警察署では署長室に対する放火も試みられましたが、国松孝次署長を含む警察官に負傷者は出ず、火はすぐに鎮火されました。その場で、1人が現行犯逮捕され、さらには38名の被疑者が特定されました。特に、西日本で後に有名なよど号ハイジャック事件を引き起こした田中義三や小西隆裕も、その中に含まれていました。

事件の影響と結果

赤軍派が実施した「東京戦争」は全共闘派による騒乱と比べると小規模なものであり、当時はほとんど注目されず、結果的に赤軍派の計画は不発に終わりました。さらに赤軍派は、東京戦争を続けて佐藤首相の訪米を阻止するために首相官邸を襲撃する計画を立てるものの、1971年11月6日に拠点が摘発（大菩薩峠事件）されることで、組織は大きな損失を被ることとなります。

このように、東京戦争は1960年代における日本の政治情勢や学生運動を象徴する事件として、後の政治的活動や過激派の動向にも影響を与える結果となりました。

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