東京都児童会館

東京都児童会館：子供たちの夢を育んだ場所

東京都児童会館は、かつて東京都渋谷区渋谷に存在した大型児童館です。北緯35度39分42.9秒、東経139度42分13.1秒に位置し、1964年3月20日に開館しました。この児童館は、皇太子明仁親王（現上皇）のご結婚と、浩宮徳仁親王（現在の天皇陛下）のご誕生を記念し、国民からの寄付金によって建設されたという背景を持っています。

施設の概要

地上5階・地下1階建ての建物には、ホールが併設されていました。設計は大谷幸夫氏、施工は大林組が担当しました。館内には、子供たちが創造性を育むための様々な施設が設けられていました。

屋上 運動のひろば：一輪車、ローラースケート、インラインスケート、竹馬などを楽しむことができました。
5階 図書のひろば：児童向けの図書が豊富に所蔵され、貸し出しも行われていました。中高生ラウンジや芝生ひろばも併設されていました。
4階 造形・音楽のひろば、講堂：リサイクル工作や粘土遊びができる造形コーナー、ピアノや打楽器で遊べる音あそびコーナー、バンド練習ができる音楽スタジオ（登録予約制）がありました。
3階 わくわくひろば：科学工作コーナー、紙工作コーナー、パソコンコーナー、イベントコーナー、人体迷路、幼児親子のためのほのぼのコーナー、ミニシアター、農家のくらしを再現したスペース、無線交信室、軽食堂・売店などがありました。
2階 のびのびひろば：乳幼児が遊べるファミリーコーナー、アスレチックコーナー、休憩コーナー、こども相談室がありました。
1階 玄関ロビー：案内、おりがみランド、休憩室がありました。
地下1階 木工作・遊具のひろば：木を使った工作ができる木工作室、卓球台と子供用の自動車型遊具がある多目的スペース、展示コーナー、オリエンテーションルーム、くつろぎコーナーがありました。
ホール（別棟）：日曜・祝日には会館主催の「こども劇場」が開催され、児童健全育成に関連する公演・行事にも有料で貸し出しが行われていました。

歴史

1959年4月、東京都児童審議会が「皇太子殿下ご成婚記念事業」として建設を企画し、東京都知事に要請したのが始まりでした。1962年2月に着工し、1964年3月20日に開館式を迎えました。同年3月には皇太子・皇太子妃が来館し、3月22日には一般公開が開始されました。

開館後、「児童クラブ活動」が開始され、演劇部などが活動を行いました。年度末にはホールで「発表会」が開催され、演劇部では「オズの魔法使い」などが上演されました。1969年には「コンピュータ・コーナー」が開設され、同年11月には「日曜こども劇場」が開始されました。

1970年には広報紙「月のあんない」が発刊され、1973年からは「夏休み児童演劇フェスティバル」が始まりました。1974年には開館10周年記念行事としてあゆみ展が開催され、1975年からは「春休み音楽フェスティバル」が開始されました。1978年にはロボット「シルバーナイト」が公開され、1984年には開館20周年記念行事として記念誌が発行されました。

1989年9月から全面改修工事が行われ、1990年4月に玄関前にモニュメント「夢の星」が設置されました。1993年には3階に「ミニシアター」が設置され、1996年には3階に「人体迷路」が設置されました。1997年には4階に「音楽スタジオ」が増設されました。

2004年には開館40周年記念事業が開催されましたが、2011年3月11日の東日本大震災以降は休館となりました。そして、2011年12月15日に東京都議会において「東京都児童会館条例を廃止する条例」が可決され、2012年3月31日をもって閉館となりました。

閉館後

閉館後、建物は解体され、跡地は渋谷区役所仮庁舎跡地と「都市再生ステップアップ・プロジェクト（渋谷地区）渋谷一丁目地区共同開発事業」に利用されることになりました。

東京都児童会館は、長年にわたり多くの子供たちに親しまれ、その成長を支えてきた場所でした。閉館は惜しまれますが、その精神は形を変え、新たな場所で受け継がれていくことでしょう。

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