東京都第1区 (中選挙区)

東京都第1区：激動の選挙区史

概要

東京都第1区は、1947年の第23回衆議院議員総選挙から1994年の公職選挙法改正まで存在した選挙区です。東京23区の中心地域、千代田区、港区、中央区、新宿区、文京区、台東区を含む、国会議事堂や皇居、官庁街など、日本政治の中枢をなす地域が含まれていました。そのため、常に注目を集め、各党が有力候補を擁立する激戦区でした。

地勢と人口変遷

この選挙区は、都市型選挙区として特徴づけられます。戦後の高度経済成長期には、人口が急増し、1964年には定数4から3へと変更、区域の一部が東京都第8区として分区されました。しかし、1970年代以降は地価高騰により、就業人口である昼間人口は増加した一方、定住人口である夜間人口、ひいては有権者数は減少しました。この昼間人口と有権者数の乖離は、選挙制度上の問題として議論の的となりましたが、解決されることはありませんでした。多くのホワイトカラー労働者は選挙権を持たないまま、選挙区外からの通勤を続けました。

勢力の推移：激動の半世紀

初期の選挙では、革新勢力が優勢でした。しかし、1950年代には保守勢力（自由民主党）と社会党が議席を分け合う構図が定着しました。1955年の総選挙では、鳩山一郎首相と浅沼稲次郎社会党委員長による党首対決が注目されました。

1960年代に入ると、麻生良方など新たな政治勢力が台頭し、勢力図に変化が生じます。浅沼委員長の暗殺という悲劇的な事件も、選挙の行方に影響を与えました。この時代、自民党と社会党が中心となり、時には公明党や民社党なども議席を獲得しました。

1970年代以降は、都心のドーナツ化現象が選挙に影響を与えます。人口減少と高齢化により、保守的な投票行動が強まり、自民党が優位に立ちました。この時代には、与謝野馨や大塚雄司といった自民党の有力議員が台頭し、社会党は議席の維持に苦戦しました。

1990年代には、「新党ブーム」が巻き起こり、海江田万里や柴野たいぞうといった新進気鋭の政治家が台頭しました。この選挙区では、常に泡沫候補も多数立候補していました。オウム真理教の候補者が出馬した選挙もありました。

区域と選挙結果

選挙区の区域は、1964年の公職選挙法改正で変更されました。当初は千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区でしたが、改正後は千代田区、港区、新宿区となりました。それぞれの選挙における有権者数、投票率、当選者などが、選挙管理委員会の記録として残されています。選挙結果の詳細については、選挙に関するデータベースなどを参照してください。

小選挙区制への移行

1994年の公職選挙法改正によって、東京都第1区は廃止されました。旧東京1区の地域は、小選挙区制に移行した新たな東京都第1区に引き継がれています。

まとめ

東京都第1区は、日本の政治の中枢を担う地域を包含した激戦区として、戦後日本の政治史を反映する歴史を持っています。人口変動や社会情勢の変化、そして政治勢力の興亡が複雑に絡み合った、興味深い選挙区でした。この選挙区の歴史は、日本の政治システムや社会変容を考える上で貴重な資料となります。

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