東京電車鉄道1形電車

東京電車鉄道1形電車のプロフィール

東京電車鉄道1形電車は、1903年に登場した路面電車の車両です。この電車は、当時の東京馬車鉄道が電化され、東京電車鉄道となったことで生まれました。やがて1911年には市営化され、東京市電気局（後の東京都交通局）に譲渡されました。

概要

この電車は1903年から1904年にかけて、日本車輌製造、東京馬車車体、名古屋車体によって合計250両が製造され、東京における最初の電車となりました。車両は全長約7.6メートル、木製の四輪単車で、ダブルルーフのオープンデッキを備えた典型的なデザインです。定員は40人で、側面には8窓タイプと10窓タイプが存在しました。

当初の台車はペックハムB8でしたが、後にブリル21Eに交換されました。また、全ての電装品はゼネラル・エレクトリック社製で、主電動機は出力18.6kwのものを2基搭載し、集電装置はトロリーポールを使用していました。

沿革

東京電車鉄道は1906年に東京市街鉄道、東京電気鉄道と合併し、東京鉄道が設立されました。この合併に伴い、車両番号が整理され、1形の全車両は原番号を保持しましたが、市営化後は特に同様の外観を持つ700両以上の車両が存在したため、形式ごとに通称が設定されました。1形は、「四輪のヨ」と「東京電車鉄道のト」が組み合わさった「ヨト形」と呼ばれるようになりました。

木製の構造であったため、老朽化が早く、1914年には車体の更新作業が始まりました。車体更新された車両は「大正3年のサ」としてヨサ形と命名され、新たに308両が改造されました。1917年以降の更新では、前面窓が設置され、これらは「ベスチビュール（前面窓）のヘ」と呼ばれ、206両がヨヘロ形に更新されました。また、特別に試験的に客室天井が紙張りとされた車両も存在しました。

大正時代になると、東京市電は交通混雑という問題に直面し、老朽化した四輪単車の運行が困難になりました。これを受けて1形も1922年までに横浜市電や函館水電、京城市電に44両が譲渡されました。さらに、関東大震災や火災の影響により、177両が焼失しました。

1925年には、残存する車両番号の整理が行われ、103両のヨヘロ形が2代目1形に改番されましたが、最終的には1932年から1934年にかけて全車両が廃車となりました。

譲渡された車両

1形電車は多くの他の鉄道会社に譲渡されました。例えば、横浜電気鉄道では1915年、1919年、1920年にかけて譲受し、関東大震災で半数が失われ、残りも1925年には廃車となりました。その他、京成電気軌道や函館水電でも受け入れが行われました。

現在の状況

2代目1形は1934年までに廃車されましたが、同年に函館水電に45両が譲渡され、同社の200形となりました。その中の4両が排形排に改造され、現在も使用されています。中でも、初代1形から改造された4号は現在も車籍を保持し、特別展での展示なども行われています。このように、初代1形電車は今もなお日本の交通史の一端を担っているのです。

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