東国通鑑

東国通鑑

『東国通鑑』（とうごくつがん）は、朝鮮半島の歴史を記録した重要な文献であり、李氏朝鮮の世祖の時代に着手され、徐居正らによって1484年に完成しました。この書物は、朝鮮半島の古代から高麗末期に至るまでの歴史を編年体でまとめています。具体的には、檀君を始めとする神話的存在や、箕子、衛満、漢四郡、三国時代の新羅などが描かれています。

1. 構成と内容

『東国通鑑』は外紀と本文の56巻から成り立っています。外紀の部分では、檀君朝鮮、箕子朝鮮、衛満朝鮮、四郡、そして三韓が取り上げられ、特に檀君の即位に関する記述は、韓国の民族主義を支える重要な要素となっています。三国紀としては新羅、高句麗、百済の歴史が詳述され、その後も新羅と高麗の時代までがカバーされています。

しかしながら、『東国通鑑』は歴史的な誤りや既存の資料からの流用が多いため、近年では学術的な歴史資料としての信頼性について疑問視されています。特に既に存在していた『高麗史節要』や『三国史節要』、さらには中国の歴史書からの引用が多く、オリジナリティには欠けているとされています。

2. 歴史的な影響

日本においては、『高麗史』や『三国史記』などの重要な歴史書は明治時代以降に広く出版されるまで、あまり知られていませんでした。しかし、東国通鑑の出版は李氏朝鮮の歴史理解への基礎的な文献となりました。1624年に徳川光圀によって東国通鑑が出版され、日本における朝鮮半島の歴史研究が進むきっかけとなりました。

3. 参考文献

現在、『東国通鑑』に関する研究や解説は多数存在していますが、特に以下の文献が参考になります。武田幸男による『高麗史日本伝 (上下) 朝鮮正史日本伝2』（岩波文庫）や、佐伯有清の『三国史記倭人伝 朝鮮正史日本伝』（岩波文庫）などから、その内容や重要性を学ぶことが可能です。

4. 関連項目

『東国通鑑』は古代朝鮮の歴史を知るための貴重な資料として、倭人に関連する朝鮮文献や古代朝鮮半島に関する中国文献とも関連しています。これらの文献は、朝鮮半島の歴史や文化の理解を深めるために重要な資源です。

5. 外部リンク

情報をさらに深く理解するために、国立国会図書館デジタルコレクションにて『東国通鑑』をデジタル閲覧することもおすすめです。

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