東尋坊口駅

東尋坊口駅：福井の海岸線を走った、今は無き駅

東尋坊口駅は、福井県坂井市（旧三国町）に存在した、京福電気鉄道三国芦原線（現・えちぜん鉄道三国芦原線）の駅です。雄大な東尋坊の景勝地への最寄り駅として、多くの観光客で賑わった歴史を持ちます。しかし、戦時中の影響を受け、休止を経て最終的に廃止という運命を辿りました。この項目では、東尋坊口駅の概要から歴史、駅構造、そして廃止に至るまでの経緯を詳細に解説します。

開業から休止、そして廃止へ

東尋坊口駅は、1932年（昭和7年）5月28日、三国芦原電鉄によって開業しました。当時、三国芦原電鉄は「海岸線」と呼ばれる観光路線を運営しており、東尋坊口駅はその終着駅として重要な役割を担っていました。東尋坊へのアクセス拠点として、多くの観光客が利用した賑やかな駅だったと想像できます。

しかし、1942年（昭和17年）9月1日、三国芦原電鉄は京福電気鉄道に合併され、路線は京福電気鉄道三国芦原線となります。その後、戦局の悪化に伴い、1944年（昭和19年）1月11日、不要不急路線とみなされ、東尋坊口駅を含む電車三国（現・三国駅）～東尋坊口駅間の営業が休止されました。

休止後も、再開されることなく、時が流れました。1944年10月11日には、芦原と三国方を結ぶ三国線が国有鉄道として休止、三国～三国港間の営業権が京福電気鉄道に貸与され、電化開業するなど、周辺路線にも変化がありました。電車三国駅は三国駅に移転統合され、三国芦原線の軌道は三国線に付け替えられ、三国芦原線の列車が三国線に乗り入れることとなりました。しかし、東尋坊口駅を含む三国芦原線電車三国～東尋坊口駅間の復活はありませんでした。最終的に、1968年（昭和43年）3月21日、休止中の三国芦原線電車三国～東尋坊口駅間は廃止が許可され、東尋坊口駅は歴史の幕を閉じました。

駅の構造と周辺環境

東尋坊口駅は地上駅でした。簡素な構造であったと推測されますが、具体的な駅舎の詳細は現存する資料が少なく、不明な点が多いです。しかし、東尋坊という名所への玄関口として、多くの観光客を受け入れていた様子が想像できます。駅周辺は、雄大な海岸線が広がり、東尋坊の奇岩群を望む絶景ポイントであったことでしょう。

まとめ

東尋坊口駅は、短いながらも賑やかな歴史を持つ駅でした。観光路線の終着駅として栄え、多くの人の思い出の中に刻まれていることでしょう。しかし、戦時中の影響を受け、休止を経て廃止という運命を辿りました。その短い歴史は、激動の時代を反映していると言えるでしょう。東尋坊口駅は、もはや存在しませんが、その存在は、かつてこの地を彩った歴史の一片として、今なお語り継がれるべきでしょう。現在、東尋坊へのアクセスはバスなどが利用されていますが、かつて存在した東尋坊口駅の歴史を知ることで、この地の魅力をより深く理解できるのではないでしょうか。

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