東山油田

東山油田

東山油田は、新潟県長岡市浦瀬地区・桂沢地区、および旧栃尾市比礼地区周辺に位置していた油田です。東西1.5km、南北7kmに及ぶ鉱区で、1888年から1997年まで石油採掘が行われました。2010年に閉山しています。

概要

長岡市南部から三条市へと連なる東山丘陵一帯では、古くから「くそうず」（草生水、臭水）と呼ばれる原油が湧き出ていました。明治時代中期に採掘が成功すると、多くの起業家が油井開発に参入し、長岡は活況を呈しました。しかし、明治末期には早くも産油量が減少し始め、衰退に向かいます。戦時中には、生産量を回復させるため、世界的にも珍しい坑道掘りによる原油採掘も行われました。

数多くの企業の統合を経て、当地で誕生した宝田石油は、後に日本の石油産業の基礎を築きました。また、油送管をはじめとする採油関連の鉄鋼製品を供給する目的で、長岡に多くの鉄工所が出現するきっかけとなりました。

歴史

1873年（明治6年）：石坂周造が長野石油会社長岡支社を設立し、試掘を開始しますが、採算が合わず撤退します。
1876年（明治9年）：地質学者のベンジャミン・スミス・ライマンが東山丘陵で油田開発調査を実施し、日本政府に対し否定的な報告書を提出します。
1887年（明治20年）：殖栗辰蔵が浦瀬山腐沢の水田に染み出した原油を小坂松五郎に鑑定を依頼します。同時期に山田又七も浦瀬で調査を行っています。
1888年（明治21年）：小坂松五郎が石油試掘に初めて成功。続いて山田又七、殖栗順平らも独自に試掘に成功します。
1892年（明治25年）：小坂松五郎、山田又七、松田周平らが共同で長岡鉄管会社を設立し、長岡市中島の製油所へ向けた油送管の設置を開始します。
1893年（明治26年）：山田又七が宝田石油株式会社を設立。同社は尼瀬油田を起源とする日本石油株式会社と共に、後の日本石油（現・JXTGエネルギー）の礎となります。
1894年（明治27年）：東山油田と中島製油所を結ぶ油送管が開通します。
1902年（明治35年）- 1907年（明治40年）：この頃、産油量がピークを迎えます。
1921年（大正10年）：宝田石油が日本石油株式会社と合併します。
1940年（昭和15年）：日本石油が桂山で坑道掘削に着手。翌1941年に産出に成功します。
1994年（平成6年）：浦瀬山鉱山が生産を終了します。
1997年（平成9年）：桂山鉱山が生産を終了します。

参考文献

日本大百科全書（ニッポニカ）-東山[油田]] (1994年). [https://kotobank.jp/word/%E6%9D%B1%E5%B1%B1%E6%B2%B9%E7%94%B0-153866
日本大百科全書（ニッポニカ）-[坑道]]掘り採油 (1994年). [https://kotobank.jp/word/%E5%9D%91%E9%81%93%E6%8E%98%E3%82%8A%E6%8E%A1%E6%B2%B9-95067
テックナガオカ （長岡市商工部工業振興課）
『決定版 長岡ふるさと大百科』（郷土出版社、2005年）

関連項目

大面油田 - 東山丘陵北部に存在した油田
油田の一覧#日本
* 長岡市

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