石坂周造

石坂周造：幕末の志士、そして石油産業の先駆者

石坂周造（1832年2月2日 - 1903年5月22日）は、幕末に尊皇攘夷運動に身を投じ、明治期には石油産業の創始者として知られる人物です。幼名は源造、号は宗順といい、江戸では彦根藩脱藩浪士を自称していました。

生い立ちと尊皇攘夷への目覚め

石坂周造の出生については、信濃国水内郡桑名川村（現在の長野県飯山市）で渡辺彦右衛門の次男として生まれたという説が一般的です。しかし、彼自身の自伝である「石坂翁小伝」には、両国で生まれたという記述があり、複雑な出自を示唆しています。この自伝によれば、彼は養子に出された後、実家に戻るという複雑な経緯を辿ったとされています。石坂塾で学んだ後、22歳で尊皇攘夷に目覚め、同志を集めて幕府の要人排除を企て、それが発覚して逃亡生活を送ります。この逃亡劇では、岡っ引きに囲まれながらも逃げ切ったり、切腹を図るも生き残ったりと、数々の逸話が残されています。

尊皇攘夷運動での活躍と投獄

逃亡後、石坂は清河八郎らと共に尊皇攘夷運動に加わり、「虎尾の会」に参加します。浪士組を結成し、京都に上りますが、その後の内紛により新選組と新徴組に分裂。石坂は清河八郎と行動を共にしていましたが、幕府に欺いた罪で清河八郎が暗殺され、石坂自身も捕らえられ投獄されます。獄中で幕府の瓦解を迎え、5年間の投獄生活を経て山岡鉄舟の預かりの身となります。彼の妻の桂子は高橋泥舟の妹であり、桂子の姉は鉄舟の妻であったという縁がありました。

石油事業への挑戦

赦免後、石坂は長野村郊外で石油が湧き出ているのを知り、石油事業に乗り出します。明治4年（1871年）に東京湯島に長野石炭油会社を設立し、日本初の石油精製所を設けました。アメリカから輸入した機械を用いて相良油田からも石油を採掘しましたが、開発は思うように進まず、多額の投資も実を結ばず、明治14年（1881年）に会社は倒産しました。

晩年と死

石油事業から手を引いた後、石坂は明治36年（1903年）に72歳で亡くなります。彼の遺体は、山岡鉄舟が建てた全生庵（東京都台東区谷中）に眠っています。

石坂周造の生涯は、幕末の激動の時代を背景に、尊皇攘夷運動から石油産業への挑戦まで、波乱に満ちたものでした。彼の行動力と先見性は、後の時代に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

参考資料

『長野県歴史人物大事典』 郷土出版社、1989年。
滝澤忠義『信州の人物余聞』2010年。

関連事項

日本石油
相良油田

外部リンク

* 清河八郎関係人物録 石坂周造 - 山形県庄内町のサイト。

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