東武バス日光

東武バス日光株式会社：日光・鬼怒川エリアの観光輸送を担うバス事業者

東武バス日光株式会社は、栃木県日光市とその周辺地域をエリアとする東武バスグループのバス運行会社です。特徴的なのは、他のグループ会社と比較して、観光輸送に重点を置いている点です。ここでは、その概要、運行形態、歴史、そして近年の取り組みについて解説します。

概要

2002年に東武鉄道バス事業本部から分社化される形で設立されました。主なターミナル駅はJR日光駅と東武日光駅で、ここを起点に旧日光市エリアへと路線網を広げています。車両の保有は統括会社である東武バス株式会社が行い、東武バス日光は運行に専念する形をとっています。車両ナンバーは宇都宮ナンバーを使用しています。

車両の特徴

東武バスグループ全体としては日野自動車といすゞ自動車が主力ですが、東武バス日光では観光路線での利用を考慮した車両構成となっています。勾配の多い路線や冬季の保温性を考慮し、貸切バスや高速バスからの転用車両が多く採用されています。近年では、バリアフリー対応として、東武バスグループの深夜急行路線と同仕様のワンロマ型車両も導入され、現在は深夜急行路線用として導入したワンロマ車のほとんどが日光地区路線用に転用されています。また、2017年には初の大型ノンステップバスとして、いすゞ新型エルガのワンロマ仕様車も導入されています。

運行形態

乗降方式は、観光バス型車両とワンロマ型車両では前乗り前降りが基本です。世界遺産めぐりバスなどの中型路線バス車両では、中乗り前降り方式が採用されています。

路線について

一般路線では、JR日光駅と東武日光駅を起点に、中禅寺温泉、湯元温泉、霧降高原など、日光を代表する観光地を結んでいます。また、2024年からは東武日光駅から中禅寺温泉への急行バスの試験運行も開始されました。市内線と呼ばれる、いろは坂手前を起終点とする路線も運行されています。世界遺産めぐりバスは、日光東照宮などの世界遺産を巡る循環路線として運行されています。

奥日光低公害バスと日光グリーンスローモビリティ

環境に配慮した取り組みとして、奥日光赤沼地区では低公害バス、日光西町エリアでは小型電気自動車によるグリーンスローモビリティの運行も行っています。

歴史

かつて東武鉄道は、栃木県南部の足利・栃木・小山・宇都宮地区などにもバス路線を持っていましたが、モータリゼーションの進行により多くの路線が不採算となり、1980年代から1990年代にかけて廃止や譲渡が進められました。しかし、観光需要の高い日光・鬼怒川温泉地区は維持され、現在に至っています。

営業所と案内所

日光営業所：栃木県日光市所野1452（東武日光駅の対岸）
中禅寺案内所：栃木県日光市中宮祠2480

乗車券

東武日光駅構内案内所、中禅寺温泉、湯元温泉などで乗車券が発売されています。普通乗車券、補充乗車券、回数券、フリーパスなどが用意されており、観光客のニーズに合わせた選択が可能です。ICカード（PASMO・Suica）も利用できます。

近年の動向

2022年4月には奥日光赤沼低公害バスの運行を受託し、同月には日光グリーンスローモビリティの運行を開始するなど、新たな取り組みも積極的に行っています。一方で、高速バス路線の廃止や定期観光バスの廃止など、変化も見られます。

東武バス日光は、日光・鬼怒川エリアの観光輸送を支える重要な役割を担っています。観光客のニーズに合わせた路線や車両の展開、環境に配慮した取り組みなど、今後も地域に密着した公共交通機関として発展していくことが期待されます。

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