東洋パルプ

東洋パルプ株式会社の歴史

東洋パルプ株式会社（とうようパルプ）は、1949年に設立された日本の製紙会社で、1989年に王子製紙（現王子ホールディングス）に合併されるまでの歴史を持っています。この会社は、広島県呉市に位置していた王子マテリア呉工場の前身です。

設立と初期の変遷

1949年1月、株式会社三島パルプ工業としてスタートしました。当初は小規模製紙会社でしたが、事業の成長とともに規模が拡大しました。その後、1950年3月には社名を東洋パルプに変更し、同年の取締役には岸信介（後の内閣総理大臣）や、企業界の有力者が名を連ね「東パル内閣」と呼ばれました。

工場は広島県呉市の海軍工廠跡地に建設され、1951年12月には操業を開始しましたが、好況の終焉と重なり、早くも経営危機に陥りました。経営支援を受けた結果、1953年には呉羽紡績から経営権を譲渡され、その後の企業体質改善策によりクラフト紙の生産が始まりました。

事業の拡大と多角化

1960年代に入ると、さらなる製品の多様化を目指しました。1970年代には晒しクラフトパルプと晒しクラフト紙の生産を開始し、1977年には印刷用紙の上質紙製品に進出しました。しかし、オイルショックによる影響で製紙業界全体が不況に見舞われ、業績が厳しくなっていきました。

1980年には大竹紙業との合併を発表するも、相手側の経営破綻により実現しませんでした。この年、東洋パルプは約55億円もの経常損失を計上し、経営危機が最も深刻な状態に陥ります。

当時の大株主である伊藤忠商事、東洋紡績、丸紅の三社の支援を受けて、王子製紙が経営に参入。技術の改善を通じて1983年には黒字化を達成し、1984年には王子製紙が株式の2/3を取得、東洋パルプは王子製紙の傘下となりました。

合併と解散

経営の安定化とさらなる生産強化を目指す中、1989年4月に王子製紙との合併が実行され、東洋パルプは解散を迎えました。この出来事は、長い歴史を有する製紙業界に様々な影響を与えました。両企業の合併によって、経営資源の統合や技術革新が促進されました。

拠点と関連人物

本社は東京都千代田区丸の内に置かれ、呉工場は広島県呉市にありました。創業当初から重要な役割を果たした岸信介氏や、長年2代目会長として経営に携わった伊藤忠兵衛氏など、政財界の有力な人物が名を連ねていました。彼らのリーダーシップが、東洋パルプの成長と発展を支えたのは間違いありません。

まとめ

東洋パルプ株式会社の歴史は、戦後の日本産業の復興や経営再建の過程を映し出しています。さまざまな困難を乗り越え、王子製紙との合併に至ったその歩みは、多くの教訓を与えてくれます。

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