東海丘陵湧水湿地群

東海丘陵湧水湿地群とは

愛知県豊田市に位置する東海丘陵湧水湿地群（とうかいきゅうりょうゆうすいしっちぐん）は、国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録された場所です。2012年7月3日にこの登録が行われ、愛知県内では藤前干潟に続く二件目の登録となります。この湿地群は矢並湿地、上高湿地、恩真寺湿地の3つの湿地から成り立っています。

湧水湿地の構造

東海丘陵湧水湿地は、地下に存在する水脈が地表に湧き出ることで形成されます。この過程では粘土質の層と砂礫質の層が重なり、水の浸透が難しい場所から水が湧出することによって、地形が変わり、湿地環境ができあがります。このような独特な地形は、東海地方の丘陵地では珍しくない現象です。

湿地の生態系

この湿地群には、多様な植物や生物が生息しています。「東海丘陵要素植物群」に代表される植物としては、シラタマホシクサやヘビノボラズ、ミカワシオガマ（シベリアシオガマの変種）、ミカワバイケイソウ（コバイケイソウの変種）、シデコブシ、トウカイコモウセンゴケなどを挙げることができるでしょう。また、ハッチョウトンボやヒメタイコウチといった多くの昆虫も確認されています。特に、ミカワシオガマやシラタマホシクサなどの絶滅危惧種や、サワギキョウの群生も見られるため、湿地の生態系は非常に貴重です。

各湿地の概要

矢並湿地

矢並湿地は愛知県豊田市矢並町に位置しており、その面積は約5.13ヘクタールです。この湿地は周囲の自然環境において重要な役割を果たしています。

上高湿地

上高湿地は愛知県豊田市上高町にあり、面積は5.45ヘクタールです。2012年からは「上高湿地を守る会」が保全活動を行っており、草本や湿地林が多様に存在しています。季節ごとに異なる景観を楽しめる一方で、希少動植物を保護するため、一般の立ち入りは禁じられています。

恩真寺湿地

恩真寺湿地は愛知県豊田市山中町に位置し、面積は11.92ヘクタールです。この湿地は愛知の偉人である鈴木正三にゆかりのある恩真寺の境内近くにあり、文化的な背景を有する湿地です。こちらも一般立ち入りが禁止されています。

まとめ

東海丘陵湧水湿地群は、その特異な地形と多様な生態系をもとに、さまざまな生物の生息地を形成しています。湿地保護は地域の自然環境を守るだけでなく、未来の世代に自然の恵みを伝えるためにも重要です。この湿地群を訪れる際には、保護の観点を十分に理解した上で、その豊かな自然を観察することをお勧めします。

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