東王父

東王父（とうおうふ）について

東王父は、中国神話における重要な仙人の一人であり、大きな徳を持つ男子の仙人です。彼は西王母が統治する女性の仙界に対抗する形で男性の仙界を司る存在として知られています。東王父はさまざまな名前で呼ばれ、例えば、東王公や木公、扶桑大帝などが挙げられます。それぞれの名前は、彼の異なる側面や役割を反映しています。特に、道教においては、彼は陽和の気を主宰し、自然の調和を保つ重要な神格とされています。

東王父の神話的背景

古代中国の神仙思想においては、神々の住まう世界は西方と東方に分かれています。西方には西王母が治める崑崙山の仙界がありますが、東方には東王父が司る蓬萊・方丈・瀛州の三つの神山が存在します。これらは現世を表す仙界とされ、東王父はそこを治め、すべての男性仙人たちを導いています。このような西王母と東王父の位置関係は、彼らの役割の違いを明示しています。

東王父の性格と役割

東王父は神話や伝説、小説にはあまり頻繁には登場しませんが、彼の存在は道教の教えにおいて非常に重要です。道教の文献によると、彼は東華の至真の気によって生まれ、碧海の上にある蒼霊の墟において成長しました。彼は西王母と共に万物を生み育て、自然界の秩序を保つ役割を担っています。

また、東王父の名前には「倪」や「君明」といった呼称があり、さらに「無為」ともされています。これは上天下地における男性の登仙得道した者たちが彼の下に所属することを意味します。このように、彼は非常に権威のある存在として描かれています。

道教における位置

張君房による『雲笈七籤』の中に収められている「道蔵三洞経」では、東王父は青陽の元気を持ち、万神の先祖としての地位が与えられています。彼の上には太清雲曜五色があり、下には東方の蓬萊山を治めています。道教の神々において、彼は上上太一道君や皇天上帝に続く三番目の神仙として位置付けられています。このように、東王父は道教における重要な存在であり、彼の教えは多くの信者たちに影響を与えています。

まとめ

東王父は、中国神話の中で西王母に対を成す男子の仙人として非常に重要な地位を持つ存在です。彼は現世の仙界を治め、自然界や人間界の調和を保つために日々活動しています。彼の存在は、道教における教えや信仰に深く根付いており、その影響は現代においても色褪せることがありません。

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