東瓜幕駅

概要

東瓜幕駅は、かつて北海道河東郡鹿追町東瓜幕に存在した、北海道拓殖鉄道の停車場です。この駅は、周辺地域で生産される豊富な木材や農産物の集積・出荷拠点として、極めて重要な役割を担っていました。地理的に西に位置する瓜幕駅と対をなす形で、東部の拠点駅として機能し、鹿追町内のみならず、隣接する音更町の一部地域からの利用者も多くいました。

当駅の開設は、地域の社会構造に大きな変化をもたらしました。鉄道駅の利便性を求めて人々が集まり始め、小さな規模ながらも活気のある市街地が形成されました。商店などが集まり、東瓜幕は地域の経済活動や住民生活の中心地の一つとなっていきました。

しかし、地域の主要産業であった農業に大きな転換期が訪れます。然別演習場の拡張に伴う大規模な農地買収が実施された結果、広大な農地が失われ、多くの農業従事者が地域を離れざるを得なくなりました。これにより、東瓜幕駅の主要な貨物輸送品目であった農産物の出荷量が激減し、駅の存在意義、特に貨物拠点としての機能が大きく損なわれました。

こうした地域社会と産業構造の変化は、北海道拓殖鉄道線の経営にも影響を与えました。輸送量の減少は路線の存続を困難にし、やがて特定区間の営業中止、そして最終的には路線自体の廃止へと繋がりました。東瓜幕駅もまた、時代の流れと地域の変遷の波に抗えず、北海道拓殖鉄道線の廃止と共にその役目を終え、静かに姿を消しました。かつて地域の賑わいの核であった駅は、今はその場所にはありませんが、地域史において重要な一ページを刻んだ存在として記憶されています。

歴史

東瓜幕駅の歩みは、北海道拓殖鉄道線の延伸計画と密接に関わっています。その歴史を辿ると以下のようになります。

1929年（昭和4年）11月26日: 北海道拓殖鉄道線が鹿追駅から中音更駅まで延伸された際、中間駅として開業しました。当初は旅客及び貨物を取り扱う一般駅として設置されました。
1942年（昭和17年）12月16日: 駅構内の改良工事が行われ、かつて複数あったホームのうち駅裏側のホームが撤去され、列車交換設備のない単式ホーム1面のみの構造に変更されました。これにより、当駅での列車の行き違いは不可能となりました。
1949年（昭和24年）9月1日: 北海道拓殖鉄道線の当駅と上士幌駅の間が廃止されたため、東瓜幕駅は路線の一部区間における終着駅となりました。
1965年（昭和40年）12月20日: 路線の一部区間、specifically 瓜幕駅と当駅の間で鉄道営業が中止されました。これに伴い、東瓜幕駅は一時的な休止状態に入りました。
1967年（昭和42年）10月1日: 営業が休止されていた瓜幕駅 - 当駅間が正式に廃止されました。これにより、東瓜幕駅も廃駅となり、38年間の歴史に幕を閉じました。

駅構造

東瓜幕駅の施設は、北海道拓殖鉄道線の線路に対し、鹿追方面に向かって右側、すなわち北側に駅舎が配置されていました。開業当初は列車交換が可能なように、向かい合った相対式ホームが2面設置されていましたが、1942年の構内改良により、片側のホームが撤去され、列車が1本しか停車できない単式ホーム1面のみとなりました。これにより、当駅での列車交換は廃止されました。

1949年に上士幌方面が廃止され、当駅が一時的に終着駅となった後も、かつて中音更方面へ延びていた線路は、本線から分岐する引き上げ線として約400メートルほど残されていました。これは、終着駅として折り返し運転を行う際に使用されたと考えられます。また、駅の裏側、すなわち駅舎とは反対側には、かつて相対ホームの上り本線として使用されていた場所に、留置線が設けられていました。さらにその外側には、貨物の積み降ろし作業を行うための貨物積卸線も存在しており、当駅が旅客扱いに加えて、貨物輸送においても重要な役割を果たしていたことを示しています。これらの施設は、駅の機能が変化する中で再利用されたり、維持されたりしたものです。

駅周辺

東瓜幕駅が位置していた地域は、主に広々とした畑作地帯でした。駅の開設は、この地域に人々の集積を促し、駅を中心とした小規模な市街地が自然発生的に形成される契機となりました。駅周辺には商店などが立ち並び、地域の住民にとって鉄道利用だけでなく、買い物や交流の場としても機能するようになり、かつては賑わいを見せていました。

しかし、前述の通り、然別演習場の拡張による農地買収と農業人口の激減は、この小市街地にも大きな影響を与えました。地域の基盤産業が衰退したことで、市街地の経済活動も低迷し、多くの住民が生活の場を失ったり、より良い機会を求めて他の地域へと移り住んでいきました。その結果、駅が廃止される頃には、かつての賑わいは失われ、市街地もその規模を大きく縮小させていました。

駅のすぐ近くには、ペンケチン川が流れており、自然豊かな環境でした。また、地域住民の生活を支える施設として、東瓜幕簡易郵便局なども存在していました。現在、鉄道施設が完全に撤去された跡地は、当時の面影を残すものは少なくなっていますが、かつてここに鉄道が走り、人々が行き交う駅があったことを今に伝える存在として、航空写真などが残されています。

駅名の由来

駅名は、当駅が所在していた鹿追町内の地域名、「東瓜幕」に由来しています。

隣の駅

北海道拓殖鉄道線の開業区間における東瓜幕駅の隣接駅は以下の通りでした。

中瓜幕駅 - 東瓜幕駅 - 中音更駅

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