中音更駅

中音更駅（なかおとふけえき）

中音更駅は、かつて北海道河東郡士幌町字中音更地区に位置していた、北海道拓殖鉄道の駅です。1949年に同鉄道が一部区間を廃止したことに伴い、その歴史に幕を閉じました。

概要

この駅が位置する地域は、元々人口が少ない上に、毎年のように冷害による不作に見舞われ、農作物の出荷も低迷していました。さらに、駅の前後の区間は9km以上も離れており、その間には音更川の橋梁も存在したため、路線の維持・除雪には多大な労力がかかっていました。しかし、それに見合うだけの収入は見込めず、経営を圧迫していました。

終戦直後、軍事需要による人員や貨物輸送が激減し、経営状況が悪化した北海道拓殖鉄道は、再建策として輸送量の少ない区間の廃止を決定。その結果、中音更駅も廃止されることになりました。

興味深いエピソードとして、然別湖畔で旅館を経営していた北海道拓殖鉄道の社長が、全焼した旅館の再建に際し、中音更駅の解体で出た古材を仮設の再建材として利用したという話が残っています。

歴史

1929年（昭和4年）11月26日：鹿追駅から当駅まで延伸開業した際に開設されました。当時は一般駅として機能していました。
1931年（昭和6年）11月15日：当駅から上士幌駅まで延伸開業し、中間駅となりました。
1932年（昭和7年）4月2日：機関車の方向転換に使用するY字型の線路（デルタ線）が瓜幕駅へ移設されました。
1933年（昭和8年）
6月3日：機関庫がガソリン気動車用の客車庫として南新得駅へ移設されました。
9月12日：鹿追駅にあった機関車方向転換用のY字型の線路（デルタ線）が当駅へ移設されました。
1934年（昭和9年）1月11日：石炭と水を機関車へ供給する設備が南新得駅へ移設されました。
1942年（昭和17年）12月16日：駅構内が改装され、相対式ホームが単式ホーム1面のみに変更されました。
1949年（昭和24年）9月1日：東瓜幕駅から上士幌駅までの区間が廃止されたことにより、中音更駅も廃駅となりました。

駅名の由来

駅名は、この地域の地名「中音更」に由来します。「音更」の語源については、士幌線の音更駅に関する記述を参照してください。

駅構造

駅舎は、上士幌駅方面に向かって右側（東側）に位置していました。

初期の頃は、千鳥状に配置された2面2線の相対式ホームを有していましたが、1942年の構内改装で駅裏側が撤去され、駅舎側の単式ホーム1面のみとなりました。

駅舎の横（瓜幕側）には貨物ホームと2本の引き込み線、さらに駅裏側には側線1本がありました。

駅裏側には、機関車の方向転換を行うためのY字型の線路（デルタ線）が設けられていました。

開業当初は、ダイヤ上の都合から、機関車が夜間滞泊する必要があったため、駅裏の側線上に機関庫と給炭台が設置されていました。

駅周辺

駅周辺は、広大な畑作地帯が広がっています。

音更川
北中音更小学校

隣の駅

北海道拓殖鉄道

北海道拓殖鉄道線

東瓜幕駅 - 中音更駅 - 上士幌駅

脚注

関連項目

日本の鉄道駅一覧

外部リンク

1947年（昭和22年）撮影航空写真 - 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス。写真中央より1/2左側やや下に当駅。駅裏にY線が見える。
1963年（昭和38年）撮影航空写真 - 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス。写真中央より右下方。廃止後大分経っているが、Y線跡はこちらの方が良くわかる。

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