東禅寺 (恵那市)

慧日山 東禅寺（とうぜんじ）

東禅寺は、岐阜県恵那市大井町に位置する黄檗宗の寺院で、山号を慧日山と称します。本尊は十一面千手観音菩薩で、恵那三十三観音霊場の一番札所として知られています。

歴史

東禅寺は、延宝元年（1673年）に通源禅徳によって再興されました。元々は尾張国志段見村（現在の名古屋市守山区）にあった廃寺を、武並神社の境内に移転させたのが始まりです。再興にあたり、宇治の萬福寺から石雲道如を招いて開山しました。

寺の旧地については、中津川市茄子川鯉ヶ平の墓地付近が、東禅寺の前身にあたる場所であると伝えられています。また、その隣接地には鳳雲庵（法雲庵）という庵が存在していたとされています。

延宝3年（1675年）7月には、通源禅徳が弘法大師像を抱いて、寺内に設けられた石室に入定したと伝えられています。その後、江戸時代を通じて二度の焼失に見舞われましたが、その都度再建され、法灯が絶えることはありませんでした。明治時代に恵那三十三観音が改組された際には、二番札所となっています。

大正3年（1914年）には、9世の英山弘栄によって現在地に移転しました。この際、通源禅徳が入定した石室から出現したとされる弘法大師像と如意を祀るための堂が建立され、石室もその裏に移設されました。現在でも、年に一度開扉して法要が行われています。なお、旧跡地は現在、恵那市立恵那東中学校となっています。

寺宝

東禅寺の本尊である十一面観音菩薩座像は、武並神社の本地仏であったと伝えられており、恵那市の有形文化財に指定されています。像は室町時代（15世紀）に制作されたと見られ、等身大の桧造寄木造りで、開創当時には破損が激しかったため、大規模な補修が行われました。

参考文献

『恵那市史』　 通史編　第2巻　第八章　江戸時代の社会生活と文化 第二節　社寺と文化　二　仏教と寺院　東禅寺　p1062～p1064　恵那市史編纂委員会　1989年
『恵那郡史』　 第四十一章　人文の発展(一)　各宗寺院　p612～p619　恵那郡教育会　1926年

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