東邦協会

東邦協会について

東邦協会（とうほうきょうかい）は、1891年7月に創設された、アジア・太平洋地域の研究団体です。当初は南進論やアジア主義、貿易立国論者が集いましたが、時が経つにつれて、アジア主義や国粋主義の色合いが強まりました。

設立の背景

1890年1月、熱心な南洋植民の支持者である福本一誠、中国探検家の小沢豁郎、中国貿易に従事していた白井新太郎の3人が発起人として集まりました。彼らの呼びかけに応じて、小山正武、山口宗義、陸実など、他の多くの知識者や実業家が賛同し、同年11月には設立のための会議が開かれ、12月には創立規約が制定されました。

創立時の役員には、監理者（会頭）に副島種臣、黒田長成が選ばれ、協議者（理事）には渡辺国武、小山正武、高橋健三などが名を連ねました。これにより、東邦協会はアジアに関する広範な研究を行う本格的な組織となりました。

設立総会と初期の活動

1891年7月7日に正式な設立総会が行われ、その後すぐに初回の評議員会が開かれました。事務所は両国吉川町に設置され、さまざまな著名人が出席しました。会員には、当時の政治家や著名人が多く名を連ね、最初の会員数は303名に達しました。特に、元総理大臣の伊藤博文や現職の松方正義も名簿に掲載されていました。

設立の目的には、「東南洋諸地に係る地理商況兵制殖民国交歴史統計等を探知講究する」ことが掲げられており、会の活動は講演会の開催や文献の収集、資料の刊行を通じて推進されていきました。

教育や刊行物

東邦協会は、明治25年には神田錦町で露西亜語学校を設立し、教育事業にも力を入れました。この学校は高橋健三が校長を務め、80名以上の学生が学ぶ環境が整えられました。

また、刊行物にも多くの努力が注がれ、さまざまな機関誌や書籍が発表されました。機関誌『東邦協会報告』は1891年から1994年まで存在し、多くの重要な研究成果が掲載されました。また、他にも多くの書籍が同協会によって出版され、アジア地域に関する知識の普及に寄与しました。

影響と展望

この組織は、国内でのアジア主義団体としての重要な役割を果たし、設立当初の興亜会とも連携を持っていました。これにより、日本国内におけるアジア研究や国際関係の深化を図りました。

今後もアジアに関する研究と啓蒙活動を通じて、国際理解や交流を推進するための持続的な努力が期待されます。東邦協会はその重要性が今も尚、色褪せることがないのです。

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