東郷町藤川

薩摩川内市東郷町藤川：歴史と自然が織りなす地

鹿児島県薩摩川内市に位置する東郷町藤川は、豊かな自然と歴史が共存する地域です。かつては薩摩国に属し、その歴史は古く、平安時代には太宰府天満宮の荘園であったと伝えられています。この地には、菅原道真が隠棲したという伝説が残り、その伝説を伝える藤川天神（菅原神社）は、学問の神様として多くの参拝者を集めています。

地理

東郷町藤川は、薩摩川内市の北部に位置し、川内川水系の田海川上流域に広がっています。北には紫尾山系の山々が連なり、阿久根市や出水市、さつま町と隣接しています。町域の中央には田海川が流れ、その川沿いに平地が広がっています。集落は、本俣、津田、中津俣など、田海川沿いに点在しており、鹿児島県道46号阿久根東郷線が地域を縦断しています。

歴史

菅原道真の伝説

藤川には、大宰府に左遷された菅原道真が隠棲し、この地で亡くなったという伝説が残っています。その伝説を伝えるのが、藤川天神として知られる菅原神社です。境内には、道真が手植えしたとされる臥龍梅があり、国の天然記念物に指定されています。しかし、この伝説については、歴史的な文献での初見は比較的遅く、地域に根付いた英雄崇拝の表れとする見方もあります。

中世から近世へ

戦国時代には、豊臣秀吉の九州平定により、藤川天神が焼失したとされています。その後、江戸時代には薩摩藩の直轄領となり、寺社や集落が再興されました。藤川は、古くから林業が盛んであり、製鉄炉や火薬工場も設置されていました。また、薩摩の歌人、八田知紀もこの地を訪れ、歌を詠んでいます。

近代から現代へ

明治時代には町村制が施行され、藤川は上東郷村の一部となりました。その後、上東郷村は東郷町となり、2004年には薩摩川内市に合併しました。1997年には、県道46号線の横座トンネルが開通し、交通の便が向上しました。しかし、近年は過疎化と高齢化が進み、2010年には津田集落が消滅、2017年には唯一の教育施設であった藤川小学校が閉校しました。

文化財

藤川天神の臥龍梅: 国指定の天然記念物。菅原道真が植えたとされる梅の木で、樹齢は数百年に及ぶ。
久留須梅: 市指定の天然記念物

産業

藤川では、かつて林業が盛んであり、現在も一部で事業が継続されています。また、農業や小売業も営まれています。

観光

藤川天神: 菅原道真を祀る神社。学問の神様として受験シーズンには多くの参拝者が訪れます。境内には臥龍梅があり、梅の名所としても知られています。
西郷隆盛の犬「ツン」の像: 藤川天神の境内に建てられた銅像。西郷隆盛の愛犬「ツン」は藤川で生まれたとされ、上野公園の西郷隆盛像の傍らに造形されています。

教育

かつては藤川中学校、藤川小学校、藤川幼稚園がありましたが、現在は全て閉校しています。

交通

道路: 鹿児島県道46号阿久根東郷線が地域を縦断しています。
バス: 路線バスは運行しておらず、薩摩川内市のデマンド交通が利用可能です。

近年の課題

東郷町藤川では、過疎化と高齢化が深刻な問題となっています。2020年の統計では、65歳以上の人口が64.2%を占めており、集落によっては、70歳以上の人口が半数を超える限界[[集落]]も存在します。地域を維持するための対策が求められています。

まとめ

東郷町藤川は、歴史と文化、豊かな自然が残る地域です。しかし、過疎化と高齢化は深刻な問題です。この地域の貴重な資源を守り、未来に引き継いでいくために、地域全体で協力していくことが重要です。

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