東雲駅 (北海道)

東雲駅：北海道の秘境駅、その歴史と終焉

北海道上川郡上川町に存在した東雲（とううん）駅は、北海道旅客鉄道（JR北海道）石北本線に属していた駅です。2021年3月13日、長い歴史に幕を閉じ、廃駅となりました。本稿では、東雲駅の開業から廃止までの歴史、駅舎の構造、周辺環境、そして廃駅に至った背景について詳述します。

開業から廃止まで：半世紀を超える歴史

東雲駅は1960年5月2日、日本国有鉄道石北線の東雲仮乗降場として開業しました。当初は旅客のみの取り扱いでしたが、1987年の国鉄分割民営化に伴いJR北海道に継承され、正式な駅へと昇格しました。その後、1990年には営業キロが設定されました。しかし、長年にわたる利用者減少という課題を抱え、2020年には上川町が駅の廃止を容認。そして、2021年3月13日、ダイヤ改正と合わせて東雲駅は廃止されました。わずか60年余りの歴史でしたが、地域の交通を支えてきた駅として、多くの人々の記憶に刻まれています。

駅舎と周辺環境：静寂に包まれた秘境駅

東雲駅は単式ホーム1面1線の地上駅で、上川駅の管理下にある無人駅でした。駅舎にはかつて大きな待合室がありましたが、老朽化のため解体され、その後は物置を流用していました。自動券売機やトイレは設置されていませんでした。

駅周辺は自然豊かな環境に囲まれており、国道39号、愛山渓ドライブイン、愛山渓温泉といった施設が近接していました。また、道北バスのバス停も近く、周辺住民の交通手段としても一定の役割を果たしていました。静かで落ち着いた雰囲気の秘境駅として、鉄道ファンや観光客にも知られた存在でした。

利用状況と廃駅への道：時代の流れと地域の変化

廃止直前までの東雲駅の乗車人員は年々減少傾向にありました。この利用者減少は、自動車の普及や人口減少といった社会情勢の変化が大きく影響しています。JR北海道は、採算性の観点から、利用者の少ない路線や駅の見直しを余儀なくされており、東雲駅もその対象となりました。上川町も、駅の存続に多額の費用が必要となることから、廃止を容認する決定を下しました。

駅名の由来：地名に由来する命名

東雲という駅名は、地域の地名に由来しています。明治時代初期の入植時には「上アンタロマ」と呼ばれていた地域ですが、1938年の字名改正により「東雲」と「愛山渓」に分割されました。この新しい地名がそのまま駅名として採用されたのです。

隣の駅とアクセス

東雲駅の隣駅は、下り方面が上川駅、上り方面が安足間駅でした。これらの駅との間は、バスや自家用車でのアクセスも可能です。

まとめ：消えた駅、残された記憶

東雲駅は、過疎化や利用者減少という現代社会の課題を反映した、多くの地方ローカル線でみられる事例の一つです。廃止は残念ではありますが、その歴史と存在は、地域の人々の記憶、そして鉄道史の中に刻まれています。東雲駅は、日本の地方鉄道の現状と、地域の変遷を象徴する存在と言えるでしょう。

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