松井康子

松井康子（まつい やすこ、1939年10月3日 - ）は、日本の元女優であり、牧和子（まき かずこ）の芸名でも知られています。

生い立ちと初期のキャリア

松井康子は、1939年に東京府東京市世田谷区で生まれました。父は山口県下関市長を務めた松井信助の三男、母は華族出身の小笠原宏子です。学習院初等科から学習院大学文学部へと進学しましたが、1958年に松竹にスカウトされ、大学を中退して女優の道へ進みました。

1959年、松竹映画『パイナップル部隊』でデビューしましたが、当初は大部屋女優で、端役での出演が続きました。その後も松竹の脇役としていくつかの作品に出演しました。

ピンク映画への転身

1963年、若松孝二監督に誘われ、「牧和子」の芸名でピンク映画『おいろけ作戦 第一部 プレイガール』に主演しました。この作品がきっかけとなり、立て続けにピンク映画に出演し、山本富士子似の美貌と豊満な肉体で人気を博しました。

当時、松井は松竹に所属していたため、五社協定により他社作品への出演が制限されていましたが、最終的には松竹を退社し、フリーとして活動することになりました。国映では「牧和子」名義、他社作品では本名の松井康子名義で出演し、150本以上のピンク映画に出演し、「ピンク映画の女王」として名を馳せました。

一般映画・テレビドラマへの出演

ピンク映画で人気を博した松井康子は、日活、東映など各社の一般映画にも出演しました。1968年には今村昌平監督の『神々の深き欲望』で兄妹の近親相姦を演じ、話題となりました。1970年代には、体型の変化により存在感を増し、1976年には大島渚監督の『愛のコリーダ』に出演しました。

その後、テレビドラマや日活ロマンポルノにも出演しましたが、加齢と肥満により徐々に芸能活動を縮小し、1980年代以降は公の場に姿を見せることなく引退しました。

その他の活動

1966年には、東京都墨田区錦糸町にスナックを開店しました。また、ボウリングを趣味とし、選手権大会に出場するほどの腕前でした。ピンク映画監督の小林悟との熱愛も話題になりました。

親族

松井康子の父・久は、山口県下関市長を務めた松井信助の三男で、明治大学野球部の左翼手でした。母・宏子は旧唐津藩主の小笠原長生の五女であり、松井康子は華族の血筋を引いています。映画監督の小笠原明峰、俳優の小笠原章二郎は伯父にあたります。

主な出演作品

映画

パイナップル部隊 (1959年)
おいろけ作戦 第一部 プレイガール (1963年)
妾 (1964年)
神々の深き欲望 (1968年)
愛のコリーダ (1976年)
肉体の悪魔 (1977年)
その他多数

テレビドラマ

フラワーアクション009ノ1 (1969年)
痛快!河内山宗俊 (1975年)
横溝正史シリーズ 本陣殺人事件 (1977年)
* 青春の門 (1978年)

松井康子は、その大胆な演技と個性的なキャラクターで、1960年代から1970年代の日本映画界において、一時代を築いた女優として記憶されています。

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