松代バイパス

松代バイパスは、長野県長野市松代町の中心市街地外縁部を通る環状的な性格を持つバイパス道路群の総称です。この名称で呼ばれる道路には、国道403号線と長野県道35号長野真田線の二つのバイパスルートが存在します。

整備の背景

松代地区は、かつて信濃国で最も高い石高を誇った松代藩の城下町として栄えました。近代以降は政治経済の中心から外れたため、当時の面影を残す古い街並みが比較的よく保存されています。しかし、古くからの街道を基にした幹線道路は、道幅が狭くカーブが多い区間が多数存在し、交通の円滑な流れを妨げる要因となっていました。

状況が大きく変化したのは、1993年（平成5年）に上信越自動車道が開通し、長野市の主要な出入口となる長野インターチェンジが地区の北部に設置されてからです。これにより、インターチェンジ周辺を中心に道路網の整備が加速しました。1992年（平成4年）には松代大橋が完成し、長野市街地と4車線の広幅員道路で結ばれたほか、地区内の交通問題を解決するためのバイパス整備が進められました。

1998年（平成10年）には、地区中心部の北側を迂回する現在の国道403号松代バイパス（当時は長野県道385号松代篠ノ井線バイパスとして開通）が開通しました。さらに、2022年（令和4年）には中心部の東側を迂回する長野県道35号長野真田線松代バイパスが全線開通し、歴史的な街並みを通過する交通の分散・排除が図られました。

国道403号松代バイパス

このバイパスは、上信越自動車道におおむね並行する形で、松代地区中心部の北側を東西方向に通過しています。元々は1998年（平成10年）に長野県道385号のバイパスとして供用開始されましたが、2013年（平成25年）1月28日に国道403号の経路変更に伴い、同国道の重複区間として指定されました。

従来の国道403号（谷街道の道筋）は、松代地区内で三か所も鋭く曲がる箇所があり、歩道もほとんど整備されていませんでしたが、このバイパスの完成により、ほぼ直線的で広々とした幅員で松代地区を通過できるようになり、交通の安全性・定時性が大幅に向上しました。

沿線には上信越自動車道の松代パーキングエリアがあり、本バイパス側にも一般道から利用できる駐車場が設けられています。

路線データ

起点: 長野県長野市松代町西寺尾（上高相交差点）
終点: 長野県長野市松代町清野（中道島交差点）
延長: 1,843メートル
幅員: 13メートル～29.5メートル（2車線、片側歩道）

主要な構造物

西寺尾新橋: 神田川の旧流路に架かる橋（全長44.0m）
海津橋: 新神田川に架かる橋（全長45.0m）

交差・接続する主な道路

上高相交差点: 国道403号現道
中道島交差点: 長野県道35号長野真田線現道、長野市道（旧国道403号谷街道）、国道403号現道

沿道の施設

ツルヤ松代店
松代城北駐車場
上信越自動車道松代パーキングエリア

長野県道35号長野真田線松代バイパス

このバイパスは、松代地区中心部の東側を南北方向に通過するルートです。長野県道35号長野真田線のバイパスとして整備が進められ、2018年（平成30年）3月に東条小学校西交差点から皆神台西交差点までの区間（延長1.1km）が部分開通しました。残る長野インター南交差点から東条小学校西交差点までの区間（延長1.8km）も2022年（令和4年）3月20日に開通し、これにより全線が供用開始となりました。

特に南側の区間は、かつて天井川であった蛭川（旧関屋川）の廃川敷を転用して建設されています。この川は1996年（平成8年）に流路が東へ数百メートル変更されました。本バイパスの建設は2008年度（平成20年度）に着手されましたが、この地域は地盤が軟弱であることに加え、2019年（令和元年）の東日本台風で周辺が広範囲にわたり水没する被害を受けたことなどから、完成までに着工から13年という長い年月を要しました。

路線データ

起点: 長野県長野市松代町西寺尾（長野インター南交差点）
終点: 長野県長野市松代町東条（皆神台西交差点）
延長: 2,878メートル
幅員:
長野インター南交差点 - 城北団地北交差点: 30.5メートル（4車線、両側に自転車道・歩道）
城北団地北交差点 - 皆神台西交差点: 16.0メートル（2車線、両側に自転車道・歩道）

交差・接続する主な道路

長野インター南交差点: 長野県道35号長野真田線現道、国道403号
東寺尾交差点: 長野市道（谷街道）
皆神台西交差点: 長野県道35号長野真田線現道

沿道の施設

Royal Hotel 長野
松代温泉
真田山長国寺
長野県松代高等学校
* 長野県警察学校、警察機動センター（機動隊、交通機動隊）

これら二つの松代バイパスは、上信越自動車道長野インターチェンジへのアクセスを円滑にしつつ、松代城下町の歴史的な景観を守り、地域の交通渋滞緩和と通過交通の分散に寄与しています。

もう一度検索