松代温泉

長野の秘湯、松代温泉：歴史と地質が織りなす癒やしの空間

長野県長野市松代地区に位置する松代温泉は、古くから人々に親しまれてきた歴史ある温泉です。かつては加賀井温泉と呼ばれており、鎌倉時代の僧侶、日蓮上人が入浴したという伝説や、戦国時代の武将、武田信玄が隠し湯として利用していたという逸話も残されています。

多様な源泉と個性豊かな泉質

松代温泉の魅力は、何よりもその多様な源泉にあります。尼巌山の西麓に点在する複数の源泉は、それぞれ異なる特徴を持ち、訪れる人に多彩な温泉体験を提供しています。中でも主要な源泉である「新3号泉」は、高張性中性高温泉に分類され、その独特の泉質は、強い塩味と鉄の味、そして炭酸の酸味を感じさせる、個性豊かなものです。

新3号泉は、かつての3号源泉が松代地震の影響で状態が悪化したため、新たに掘削された源泉です。人工的に掘削された源泉ながら、地下深くから湧き上がる二酸化炭素の圧力によって自噴しており、その平均湧出量は720リットル／分にも及びます。湧出時は無色透明ですが、空気に触れると酸化鉄の影響で茶褐色に変化し、浴槽には石灰華が沈着するという特徴も持ちます。泉質は「含鉄(II)-Na：Ca-塩化物泉」と分類され、鉄分を含むため、肌にも良いとされています。

新3号泉以外にも、加賀井温泉1号、加賀井温泉3号、松代温泉新1号・旧1号、松代温泉2号、松代温泉観測井、松代温泉児玉の湯など、複数の源泉が確認されており、それぞれが異なる歴史や特徴を持っています。これらの源泉は、松代群発地震といった地殻変動の影響を受けてきた歴史を物語っており、温泉街の形成と深い関わりがあります。

温泉街の佇まいとアクセス

松代温泉の周辺には、歴史的な建造物や自然豊かな風景が広がる、落ち着いた雰囲気の温泉街が広がっています。宿泊施設としては「メルキュール長野松代リゾート＆スパ」や「黄金の湯 松代荘」などがあり、日帰り入浴のできる施設も多く存在します。「松代温泉公民館」や「一陽館」などは、地元住民や観光客に親しまれている人気のスポットです。長野駅から松代温泉までは、路線バスの往復切符と日帰り入浴料金をセットにしたお得なチケットも販売されているため、アクセスも便利です。最寄りの高速道路インターチェンジは上信越自動車道長野インターチェンジです。

地名としての松代温泉

松代温泉は、地名としても存在します。尼巌山の西麓に位置する住宅団地で、1977年に長野市松代町東条の一部から成立しました。地区内は方格状の道路が整備されており、まきば保育園や松代温泉団地東公園、松代温泉公民館といった公共施設が整備されています。鉄道駅はありませんが、バス路線は「松代柳町」や「東寺尾」が最寄りのバス停となります。

映画やドラマのロケ地としても人気

松代温泉は、その美しい景観や歴史的な雰囲気から、映画やドラマのロケ地としても多く利用されています。『転校生-さよなら あなた-』、『世紀末オカルト学院』、『殿、利息でござる!』といった作品をはじめ、近年では『湯けむりドクター華岡万里子の温泉事件簿』シリーズでも松代温泉が登場しています。

まとめ

松代温泉は、歴史、地質、そして人々の営みが織りなす、魅力あふれる温泉地です。豊かな自然に囲まれた静かな環境で、心身ともに癒やしのひとときを過ごしたい方におすすめです。 数々の源泉と歴史、そして現代の快適さを兼ね備えた松代温泉で、忘れられない旅の思い出を作りましょう。

もう一度検索