松尾泰一

松尾泰一について

松尾泰一（まつお たいいち）は、1947年12月31日生まれの日本の実業家です。彼は、日本初のインターネット専業銀行であるイーバンク銀行（現在の楽天銀行）の創業者として、日本の金融業界に大きな足跡を残しました。

生い立ちと学歴

松尾氏は、東京都杉並区で生まれました。父親は東京高速道路の設立メンバーである松尾謙一氏です。麻布中学校・高等学校を経て、東京大学経済学部を卒業しました。

日本長期信用銀行時代

1971年、松尾氏は日本長期信用銀行（長銀）に入行しました。1973年から2年間は通産省（現経済産業省）に出向し、その後、ロンドン支店長代理として海外勤務を経験しました。さらに、長銀の証券子会社であるLTCB Intl.のエグゼクティブ・ディレクターを務め、1987年に帰国しました。1994年には、ハーバード大学ハーバード・ビジネス・スクールでAMP（Advanced Management Program）を修了しています。長銀では、本店公共業務部長や営業第五部長などを歴任しました。

イーバンク銀行の設立

1998年、長銀が国有化されたことをきっかけに、松尾氏は自宅待機となります。この期間にパソコンとインターネットを独学で学び、新しいビジネスチャンスを見出しました。1999年2月には長銀を退職し、伊藤忠商事に転職。金融開発担当部長として、日本オンライン証券（現カブドットコム証券）の設立に携わりました。

その後、松尾氏は、携帯電話を使った少額決済に特化したネット銀行を設立するという革新的なアイデアを抱き、伊藤忠商事を退社。2000年1月には、若山健彦氏、河野貴輝氏らと共に、日本電子決済企画を設立しました。同年4月には、元大蔵官僚の行天豊雄氏や長銀の先輩である平尾光司氏らと共に、ネット銀行「イーバンク銀行」の設立構想を発表しました。そして、2001年6月、イーバンク銀行の初代社長に就任しました。イーバンク銀行は、当時としては画期的なインターネット専業銀行として、多くの注目を集めました。

その後

2008年9月、イーバンク銀行は自己資本比率の引き上げを求められ、楽天グループからの大型資本を受け入れました。これにより、松尾氏は2009年3月末に銀行経営から退きました。2021年6月には、ZUU社の社外取締役に就任しています。

人物像

松尾氏は、音楽、特にジャズを愛好しており、自動車好きとしても知られています。最初の愛車は、東京大学合格時に両親から贈られたフェアレディSR311でした。2005年時点では、ACコブラ Mark4を所有していたそうです。また、ジェット証券の土井宏文氏は、長銀時代の部下でした。楽天の三木谷浩史氏とは、1997年に松尾氏が楽天市場に出店を希望して楽天を訪問した際に、直接会談したというエピソードがあります。この出会いは、後のイーバンク銀行と楽天の資本提携につながる重要な出来事でした。

松尾泰一氏は、金融業界にイノベーションをもたらした先駆者として、その名前は長く記憶されることでしょう。

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