松山千春のON THE RADIO

『松山千春のON THE RADIO』は、埼玉県を拠点とするラジオ局NACK5が制作し、シンガーソングライターの松山千春がパーソナリティを担当する冠番組です。放送上ではパーソナリティ自ら「松山千春のON THE RADIO」とタイトルコールしますが、多くの番組表やウェブサイトでは『松山千春 ON THE RADIO』と表記されています。番組のオープニングには、松山千春が1984年に発表した楽曲「On the Radio」が使用されており、この曲が番組タイトルの由来となっています。

番組の内容と特徴

番組は1時間の枠で、松山千春自身の身近な出来事から、刻々と変わる世の中のニュース、さらにはスポーツ、芸術、芸能といった幅広い分野の話題に至るまで、松山自身の視点からコメントしていくスタイルが特徴です。リスナーからのメッセージを受け付けるEメールの宛先は、制作局であるNACK5ではなく、松山の個人ドメインが使用されています。

番組の主な放送拠点は、松山千春が生活の拠点とする札幌市のSTVラジオのスタジオ、あるいはNACK5の東京・銀座にあるスタジオです。これらのスタジオから基本的に生放送されます。ただし、この生放送をそのまま同時に聴けるのは制作局のNACK5とSTVラジオのみ。その他の全国のネット局では、NACK5で放送された内容が約1週間遅れて届けられます。興味深い点として、一部のネット局ではNACK5やSTVラジオと同じ時間帯に放送されていても、内容はやはり1週間前のものがオンエアされるというケースも見られます（例: 信越放送）。

このような時差ネットの性質上、年末年始には対応が分かれます。NACK5とSTVラジオではその時期に合わせた生放送回がオンエアされる一方、他のネット局向けには事前に収録された、いわゆる「裏送り」の回が用意されることがあります。また、毎年12月24日にはSTVラジオで『STVラジオ・チャリティー・ミュージックソン』という長時間の特別番組が組まれますが、STVラジオでは『ミュージックソン』を放送しながらも通常番組も随時放送する編成方針をとっています。そのため、この日が番組の放送曜日と重なる場合でも、『松山千春のON THE RADIO』は通常通り生放送されることがあります。

番組中に楽曲が流れる際、STVラジオなどNACK5以外のスタジオから放送している場合でも、音楽の再生は埼玉・大宮にあるNACK5本社から行われています。松山千春の曲紹介のタイミングに合わせて、本社のスタッフが音楽プレイヤーの再生ボタンを押す仕組みになっており、スタッフは松山のトークに常に耳を澄ませています。

ゲストが登場することもあり、特に地方のラジオ局で収録を行う際には、その地域で番組を持つ松山の知人であるタレントが出演することが多く見られます。過去には、東海ラジオでの収録時に宮地佑紀生、南日本放送での収録時に桂竹丸などがゲスト出演した例があります。

番組のスポンサーは、メインスポンサーである「アサヒ緑健・緑効青汁」が全国的に協賛しているほか、各ネット局独自にローカルスポンサーが付く場合が多くあります。これは、スポンサー企業の社長と松山千春が長年にわたり親交があるケースが多いことに起因しています。

放送網の沿革と現在の状況

番組は2007年 7月1日にスタートし、当初はNACK5のみでの放送でしたが、2007年 8月以降、徐々に全国のAM局、FM局へとネット局を拡大していきました。インターネット経由ではWeb IPサイマルラジオ「radiko」で聴取可能ですが、auのLISMO WAVEでの配信は行われませんでした。過去にはFM OSAKAで『松山千春のオン・ザ・レディオ 851』という別タイトルで放送されたこともあります。

北海道におけるネット局であるSTVラジオは、松山千春を見出し、初めて放送メディアに登場させたゆかりのある局です。1976年以来、STVラジオでは30年以上にわたり松山千春のレギュラー番組が放送されていましたが、2007年2月に一度途絶えており、『ON THE RADIO』のネット開始はこの出演空白期間を埋める側面も持ち合わせていました。2017年 4月9日からは、NACK5との同時生放送を開始。ツアーなどの都合で地方局から放送する場合を除き、多くの場合STVラジオのスタジオから生放送されているため、幹事局はNACK5でありながら、実質的にはNACK5とSTVラジオの共同制作のような形態がとられています。

松山千春のON THE RADIO