松山平野

松山平野

松山平野は、愛媛県中部に位置する、東西約20km、南北約17kmに及ぶ広大な沖積平野です。四国山地から流れ出る重信川と石手川が長い年月をかけて形成した扇状地であり、松山市、東温市、伊予郡にまたがっています。

地理

松山平野は、北を高縄山系、南を四国山地に囲まれた盆地状の地形をしています。平野を形成する主な河川は、重信川、石手川、三坂川、小野川、中ノ川、堂本川です。特に重信川は、平野全体の約半分を占める大きな流域面積を持っています。これらの河川は扇状地特有の伏流水（地下水脈）を形成していますが、降水量が少ない地域であるため、水量が安定しないという課題を抱えています。また、平野内には、かつて暴れ川であった両河川の名残である中小河川が点在しています。

松山市街地が高台に位置しているのは、過去の洪水を避けるための知恵です。現在では河川改修が進み、水害のリスクは低減されています。

平野の地形は、東温市付近を扇頂とするなだらかな扇状地で、松山市城東地区の「石手川扇状地」や「祝谷扇状地」では、やや急な勾配が見られます。また、道後付近から南西部にかけては、緩やかに傾斜しています。

平野の地下には豊富な伏流水が流れており、その一部は温泉となって湧き出しています。道後温泉郷は、この伏流水が熱源となっており、上流（東温市方面）に行くほど泉温が高くなる特徴があります（例：道後さや温泉28℃、道後温泉46℃、見奈良温泉50℃）。これは、中央構造線（断層）が地熱の源となっているためです。さらに、地下1700mから湧き出る松山温泉は、62℃という非常に高温の温泉です。

平野の中心部から扇端部にあたる松山市周辺では、水田が広がり、愛媛県随一の穀倉地帯となっています。また、丘陵部では温州みかんをはじめとする果樹栽培が盛んです。

気候

松山平野は、瀬戸内海気候に属しており、年間を通して温暖で雨が少ないのが特徴です。しかし、水源が豊富な松前町を除き、度々干ばつや渇水に悩まされています。愛媛県の人口の3分の1以上がこの平野に集中しているため、水資源の確保は長年の課題となっています。特に、中予分水は重要な政策課題として認識されています。

外部リンク

* 『松山平野』 - コトバンク

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