松岡義之

松岡義之：遅咲きの金メダリスト、名指導者への道

松岡義之（まつおか よしゆき）は、1957年3月6日生まれの日本の柔道家。講道館柔道八段。

選手として

24歳で初めて全日本強化メンバーに選ばれるという遅咲きの選手でしたが、オリンピックで金メダル、世界選手権で銀メダルと銅メダルを獲得するなど、65kg以下級のトップ選手として活躍しました。

指導者として

引退後は、小松製作所女子柔道部の監督に就任。全日本実業団体対抗大会で優勝を争う強豪チームに育て上げ、谷本歩実など、オリンピックで活躍する選手を育成しました。

生い立ちと柔道との出会い

兵庫県神崎郡福崎町出身。中学入学と同時に柔道を始めました。当時流行していたテレビドラマ『柔道一直線』に憧れて入部したものの、実際は地味だったと述懐しています。中学時代は、地区大会では優勝できるものの、県大会では歯が立たなかったそうです。

県立福崎高校に進学後も柔道部に入部。高校時代にはインターハイ出場は叶いませんでしたが、和やかな雰囲気の中で柔道を楽しみ、「思えばあの頃が一番柔道を好きになれた」と語っています。

京都産業大学に進学後も柔道を続けましたが、目標はタイトルではなく無事に卒業することでした。しかし、1年生の頃から団体戦のレギュラーに選ばれ、世界チャンピオンである藤猪省太から指導を受けたことが、その後の柔道人生に大きな影響を与えました。

警察官から柔道家へ

大学卒業後、兵庫県警察に就職。厳しい練習環境の中で己を鍛え上げました。就職2年目に胆嚢炎を患い、静養中に「自分を活かすのは柔道しかない」という結論に至り、酒とタバコを断ち、食生活を改善するなど、生活の全てを柔道に捧げるようになりました。

意識の変化は試合結果にも表れ、24歳で初めて全日本柔道連盟の強化メンバーに選ばれました。

国際舞台での活躍

国内タイトル未獲得のまま、1982年のハンガリー国際大会に自費で出場し優勝。続くチェコスロバキア国際大会も制し、世界選手権への出場権を獲得。1983年の世界選手権では準優勝を果たしました。

1984年のロサンゼルスオリンピックでは、決勝で韓国の黄正五に勝利し、金メダルを獲得。27歳での快挙でした。

翌1985年には、講道館杯と全日本選抜選手権で優勝。しかし、世界選手権では3位に終わりました。

指導者としての新たな挑戦

引退後は、小松製作所女子柔道部の監督に就任。当初は緩い雰囲気だったチームを、選手たちの意識改革から始め、目標とプロ意識を持たせました。練習メニューにバレーや相撲などを取り入れ、楽しみながらもストイックに練習に取り組むチームを作り上げました。

松岡の指導の下、小松製作所女子柔道部は全日本実業団体対抗大会で4連覇を含む8度の優勝を果たすなど、女子柔道界のトップチームとして君臨。谷本歩実や浅見八瑠奈など、オリンピックや世界選手権で活躍する選手を育成しました。

現在は監督の座を教え子である杉本美香に譲り、総監督として後進の指導にあたっています。選手たちのセカンドキャリアにも目を向け、柔道以外の部分でもサポートしたいと考えています。

主な戦績

1982年 ハンガリー国際大会 優勝
1982年 講道館杯（軽軽量級） 優勝
1982年 チェコスロバキア国際大会 優勝
1983年 世界選手権大会（軽軽量級） 2位
1984年 ロサンゼルス五輪（軽軽量級） 優勝
1985年 講道館杯（軽軽量級） 優勝
1985年 全日本選抜体重別選手権大会（軽軽量級） 優勝
1985年 世界選手権大会（軽軽量級） 3位

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