松島正幸

松島正幸：北海道の風景を描き続けた洋画家

1910年、北海道の屯田兵の家庭に生まれた松島正幸は、幼少期を札幌で過ごし、その後上京して画家を志しました。才能溢れる若き画家は、1930年、わずか20歳で『花を持てる少女』が二科展に入選。この作品は、彼の画業の幕開けを告げる重要な出来事となりました。

その後、松平鈴子と結婚。鈴子は彼の代表作『花を持てる少女』のモデルとしても知られています。1930年代後半には従軍画家として、ハルビンや大連などの中国北部の風景をスケッチし、多くの作品を生み出しました。この経験は、彼の画風や作風形成に大きな影響を与えたと言えるでしょう。1941年には『ハルビンの舗道』で独立美術協会賞を受賞するなど、彼の才能は高く評価されました。

第二次世界大戦の激化により、松島は札幌に疎開。札幌や小樽の風景を数多く描き、『札幌雪日』など、北海道の風土を捉えた作品を残しました。戦後、再び上京した彼は、北海道から鹿児島まで日本各地を巡り、精力的に作品を制作しました。風景画を描き続ける一方で、1960年代後半からは北海道教育大学で非常勤講師を務め、後進の育成にも携わりました。

1960年代後半からは、毎年一定期間をヨーロッパで過ごし、スイスのアイガー北壁やパリの街並みを題材とした作品も制作しました。『アイガー北壁』『モンマルトル』『巴里の教会堂』など、ヨーロッパの壮大な自然や街並みを独自の視点で描いた作品群は、彼の画業において重要な位置を占めています。これらの作品は、彼の幅広い視座と表現力の豊かさを示すものと言えるでしょう。

晩年は、体調を崩し、脳梗塞を繰り返すなど、健康面で苦難の時期を過ごしました。しかし、それでもなお創作活動を続け、多くの作品を後世に残しました。彼の作品は、北海道岩見沢市の松島正幸記念館、そして出身地の深川市にあるアートホール東洲館などに収蔵され、現在も人々を魅了し続けています。1999年、肺炎のため79歳で亡くなりました。

松島正幸の作品には、北海道の雄大な自然、そして日本の多様な風景が鮮やかに描かれています。彼の作品は、時代を超えて人々の心に響く、普遍的な美しさを持っていると言えるでしょう。その作品群は、彼の生涯にわたる情熱と探求心、そして優れた表現力を物語っています。彼の功績は、これからも多くの人々に記憶され、称え続けられるでしょう。

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