松平太郎

松平 太郎について

松平太郎は、幕末の動乱に生き抜いた幕臣であり、1839年に生まれ、1909年に逝去しました。彼の人生は多くの歴史的事件と交錯し、特に戊辰戦争や蝦夷共和国の設立において重要な役割を果たしました。彼は正親という名を持ち、最終的には正七位に昇進しました。

生い立ちと幕府での活動

松平太郎は、幕臣として松平九郎左衛門の子に生まれました。若いころは江戸で仏学者の村上英俊の塾で学び、文久年間には幕府の奥右筆として活動を始めます。慶応3年には外国奉行支配組頭に任命され、国際的な問題にも関わるようになります。

そして1868年1月に戊辰戦争が勃発すると、彼は困難な状況を前に動き出します。早速、陸軍奉行並に任命され、旧幕府軍の官軍への反抗心を抑える責任を果たしましたが、彼自身は抗戦を選び、兵士たちと共に戦場に赴きました。江戸を脱出した後、今市で大鳥圭介と合流し、軍資金を届けるなど活発な行動を取ります。しかし、会津戦争では敗北を喫し、榎本武揚と共に蝦夷地へ渡ることになります。

蝦夷共和国での活躍

蝦夷地において彼は「蝦夷共和国」の設立に関わり、榎本に次ぐ票数を獲得して副総裁に就任しました。ここで松平は主に民政や外交に従事し、榎本を支える役割を果たしました。彼は「洋才」を持つ榎本と対照的に「和魂」の持ち主とされ、国民からも厚い信頼を受けていました。

しかし、明治2年には新政府軍からの総攻撃を受けて激戦の末に降伏せざるを得ませんでした。戦後は、榎本らと共に東京に護送され、その後禁固生活を余儀なくされましたが、1872年に釈放され、新政府において開拓使に任命されます。箱館での勤務が指示されますが、すぐに辞職します。

晩年と評価

その後、松平は三潴県で権参事を経てロシアのウラジオストクへ派遣されますが、早々に退職。彼は貿易業や織物業に手を出しましたが、商才に恵まれず、次第に失敗を重ねて流浪の生活に入ることになります。晩年は名声を失い、かつての仲間たちとともに過ごしました。

1909年、松平は湯本屋で病に倒れ終焉を迎えました。彼は71歳まで生きましたが、彼の名前は江戸開城の前後において、官軍を翻弄する策略で知られています。多くの人々に尊敬されながらも、明治期には忘れられがちだった彼。独自の左派的立場の下で、数々の歴史的出来事に影響を及ぼしました。当時の情勢の中で、本来の能力をかき消されたものの彼の業績は今なお評価されています。

家族とその後

松平の後を継いだ養子は法学士として名を馳せ、江戸時代制度の研究を執筆し、その一部は戦後に焼失しました。松平太郎は単なる幕臣に留まらず、複雑で苦難に満ちた人生を歩んだ人物として、歴史の中で重要な位置を占めています。 現在でも彼に関する研究がなされ、多くの関連作品が制作されています。

もう一度検索