松平定永

松平定永：激動の時代を生きた桑名藩主

松平定永（まつだいら さだなが）は、江戸時代後期の大名であり、陸奥国白河藩の第4代藩主、後に伊勢国桑名藩の初代藩主を務めました。定綱系久松松平家10代当主として、その生涯は様々な出来事に彩られています。

生い立ちと家督相続

寛政3年（1791年）、白河藩主・松平定信と正室の隼姫の間に、江戸城西ノ丸邸で生まれました。幼名は太郎丸。兄（のちの真田幸貫）がいましたが、側室の子であったため、正室の子である定永が嫡男として扱われました。

文化9年（1812年）に父・定信の隠居に伴い、家督を相続し白河藩主となります。この時、幕府の要職である溜間詰に任じられました。

桑名藩への国替え

文政6年（1823年）3月24日、定永は桑名へ、桑名の松平忠堯は武蔵国忍へ、忍の阿部銕丸は白河へ移るという、いわゆる三方領替えが命じられました。この国替えには、隠居していた父・定信が父祖の地への帰還を望んだという説があります。しかし、異説も存在します。文政4年（1821年）当時、白河藩は江戸湾警備の負担に耐えかね、定永が江戸湾にほど近い下総国佐倉藩への転封を申し入れ、佐倉藩主堀田正愛と対立していました。その懲罰として、定永を桑名に移し、佐倉藩に白河藩の後任として江戸湾警備を引き受けさせたという説もあります。

藩政と苦難

桑名藩に移った定永は、白河時代からの借財1万4000両に加え、転封によって新たに9万両の借財を抱え、その総額は10万4000両に達しました。この莫大な借財に苦しむ藩財政を立て直すため、文政7年（1824年）から10年間の期限で家臣の知行削減を断行します。しかし、不幸なことに、江戸上屋敷の類焼や幕府からの手伝い普請が重なり、藩財政は一向に好転しませんでした。大坂商人からの借財や御用金などで、なんとか急場をしのぐ状況が続きました。

さらに、天保8年（1837年）には、藩の飛び地であった越後柏崎の陣屋が、生田万の乱に巻き込まれるという事件が発生します。死者を出しながらも、なんとか鎮圧に成功しましたが、多難な藩政は続きました。

死去とその後

天保9年（1838年）10月、松平定永は江戸で死去しました。享年48歳。家督は長男の定和が継ぎました。

系譜

父母
父：松平定信
母：隼姫 - 加藤泰武の娘
正室
綱姫 - 順承院、蜂須賀治昭娘
側室
随真院
子女
松平定和（次男）：生母は綱姫（正室）
板倉勝静（八男）：生母は随真院（側室）
土岐頼之（十男）
松平近説（十一男）
* 石川総禄正室 - のち九鬼隆都継々室

松平定永は、激動の時代に藩主として、藩政の立て直しに尽力しましたが、その生涯は苦難の連続でした。しかし、その功績は、子孫に受け継がれ、桑名藩の発展に貢献しました。

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