石川総禄

石川総禄（いしかわ ふさよし）は、文政12年（1829年）に伊勢亀山藩の第7代藩主・石川総安の長男として生まれました。しかし、父の死後、幼少であったため、家督は養子の総紀が継ぎ、総禄は藩主の座を一時的に譲ることとなります。

嘉永6年（1853年）5月7日、総紀の隠居に伴い、その養子として家督を継承し、第9代藩主となりました。同時に、従五位下、日向守に叙位・任官されています。

幕末の動乱期において、総禄は藩政改革に積極的に取り組みました。陸奥会津藩士を招聘し、洋式軍制を導入した他、財政再建のために茶の栽培や山林開拓による新田開発を推進しました。また、幕命により和宮親子内親王の江戸降下や、江戸のフランス公使館の警護という重要な任務も担いました。

藩政においては、家老の近藤織部（近藤幸殖）と共に、勤皇派の黒田孝富らを積極的に登用し、時代の変化に対応しようとしました。これらの政策は、藩の近代化を推し進める上で重要な役割を果たしました。

しかし、文久2年（1862年）、参勤交代で江戸に到着した直後、総禄は病に倒れ、同年9月17日に34歳という若さでこの世を去りました。その死後、先代藩主である総紀の四男で養子の総脩が家督を継承しましたが、藩政の実権は隠居していた総紀が掌握し、近藤や黒田といった勤皇派は蟄居を余儀なくされました。

総禄の系譜は以下の通りです。

実父：石川総安
養父：石川総紀
正室：松平定永の娘
養子：石川総脩（石川総紀の四男）

石川総禄は、短い生涯の中で、幕末という激動の時代を生き、藩政改革に尽力した藩主でした。彼の功績は、藩の近代化に大きく貢献し、その政策は後の時代にも影響を与えたと言えるでしょう。

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