松平定猷

松平定猷（まつだいら さだみち）は、江戸時代後期の伊勢国桑名藩主であり、定綱系久松松平家の12代目当主です。官位は従四位下・越中守、侍従を務めました。

生涯

先代藩主・松平定和の長男として生まれ、天保13年（1842年）に父の死去に伴い、幼くして家督を相続しました。しかし、藩主就任の年に桑名で大火と飢饉が同時に発生し、その後の治世も嘉永7年（1854年）の安政東海地震など、天災が相次ぎました。そのため、藩の財政は救済費用や対策費用、幕府の手伝い普請などが重なり、逼迫した状況に陥りました。水害も発生しましたが、一方で豊作となり、藩の蔵が満杯になるほどでした。これにより、大坂からの借財を一時的に返済せずに済むなど、恵まれた時期もあったようです。

嘉永6年（1853年）に徳川家定が13代将軍に就任すると、将軍の諱である「定」の字を避けて「猷（みち）」と改名しました。安政6年（1859年）には京都警護を命じられましたが、藩内の財政問題などによる心労から病に倒れ、同年8月21日または22日に26歳という若さで江戸にて急逝しました。定猷の死後、長男の定教は幼少であり、また側室の子であったため、嫡出の娘である初子に、婿養子の定敬を迎えて家督を継がせることとなりました。

系譜

父母
父：松平定和
母：孝姫 - 島津重豪の娘
正室
真田貞子 - 真田幸良の長女
側室
渡辺氏
子女
松平定教（長男）：生母は渡辺氏（側室）
松平初子：松平定敬正室、生母は真田貞子（正室）
養子
松平定敬：松平義建の八男

脚注

参考文献

* 郡義武『シリーズ藩物語 桑名藩』現代書館、2009年11月。

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