松平宣富

松平 宣富の生涯と津山藩の発展

松平宣富（まつだいら のぶとみ）は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した大名であり、美作津山藩の初代藩主としてその名を刻んでいます。彼は1680年10月9日に、白河藩主・松平直矩の三男として生まれました。松平家は名門であり、彼の母は村上氏という由緒ある家系の出身です。初めて元服を迎えた際には、矩栄と名乗りました。

元禄6年（1694年）には、別の松平家の当主である松平光長の養子となることで、名を長矩に改めました。元禄10年（1697年）、彼は養父が隠居するのを機に越後守に任じられ、翌年には豊かな美作の地で10万石を与えられて津山藩を立藩します。これにより、彼は国持大名として幕府から正式に認められました。

その後、元禄12年（1699年）には左近衛権少将に任ぜられると共に、出羽久保田藩主・佐竹義処の娘を正室として迎えました。宣富は、家族や実家からの家臣を重視し、能ある人材を江戸や京都から積極的に招聘して藩の運営にあたりました。

しかし、彼の治世初期には、年貢を高く設定したことから農民一揆が発生する「高倉騒動」が起こります。長矩はこの危機を果断に乗り越えましたが、これを契機に彼は農村支配制度の改革や財政の見直しを強化する必要性を痛感します。特に庄屋制度の見直しは、藩の安定を図るために不可欠でした。

元禄11年（1698年）には、江戸で発生した火事によって光長が所有していた上屋敷と、幕府から借用していた本所の下屋敷が焼失してしまいます。これにより、藩財政は大きなダメージを受けますが、新たに江戸城附近の鍛冶橋付近に7000坪の藩邸用地と1万両の資金を受け取り、再建に努めました。しかし、この新しい屋敷も宝永2年（1705年）に火災に見舞われるなど、再建には苦労が続きました。

時が流れ、6代将軍・徳川家宣からその名に偏諱を賜り、宣富と名乗るようになります。享保6年（1721年）2月7日、42歳でこの世を去ると、跡を長男・浅五郎が継ぐこととなりました。

家族と系譜

松平宣富の正室は、佐竹義処の娘である岩であり、また継室には櫛笥隆賀の養女がいました。長男の松平浅五郎は1716年に生まれましたが、残念ながら1726年に早逝しました。側室からは脇田氏が名を連ねています。

宣富には三女、次男、そして生母不明の子女もおり、彼の家系は多様なつながりを持っていました。三女の隆は織田信朝の正室となり、長女の瑩光院は後に毛利宗元と婚約し、後世まで名を残すこととなります。

まとめ

松平宣富は、その短い生涯に多くの改革をもたらし、津山藩の基盤を築いた重要な人物です。彼の行動は藩の発展に寄与し、当時の日本の歴史の中でも特筆されるべき業績です。彼の果敢な行動と改革の精神は、後の世代にも語り継がれることでしょう。

もう一度検索