松平忠愛 (島原藩主)

松平忠愛（まつだいら ただちか）は、弘化2年（1845年）に松平忠篤の長男として生まれました。父の忠篤は深溝松平家13代当主・松平忠侯の弟にあたります。万延元年（1860年）、先代藩主であった松平忠淳が嗣子なくして亡くなったため、忠愛がその後を継ぐこととなりました。この時、先々代藩主・松平忠精の娘である狡子（さとこ）と婚約し、その関係を通じて養子として迎えられ、家督を相続しました。

同年12月16日には、従五位下・主殿頭に叙位・任官されています。これは、幕府における一定の地位を与えられたことを意味します。

藩主となった忠愛は、家督相続直後から多忙な日々を送ります。当時、日本は幕末の動乱期にあり、外国との関係が重要な課題となっていました。忠愛は、アメリカ公使館となった善福寺の警備を担当しました。これは、外国からの圧力が高まる中で、幕府や藩が外国人を保護し、外交関係を維持しようとした政策の一環でした。

また、長崎方面の海防対策にも苦慮しました。長崎は外国との貿易港として重要な拠点であり、外国船の出入りが頻繁に行われていました。そのため、外国からの侵略を防ぐための海防体制の強化が急務となっており、忠愛は、その対策に追われることとなりました。

文久2年（1862年）、参勤交代のために江戸へ向かう途中、長州領内において麻疹（はしか）にかかって倒れてしまいます。一時的に回復したものの、江戸に到着すると再び高熱を発し、7月21日に死去しました。享年18歳という若さでした。

忠愛には実子がなかったため、徳川斉昭の十六男である松平忠和（まつだいら ただかず）を養子に迎え、後を継がせました。忠和は、水戸徳川家の一員であり、その血筋の良さから、藩主として迎えられることとなりました。

系譜

実父: 松平忠篤
養父: 松平忠淳
婚約者: 狡子（松平忠精の娘）
養子: 松平忠和（徳川斉昭の十六男）

松平忠愛は、若くして藩主となり、幕末の動乱期に様々な難題に直面しながらも、藩のために尽力しました。しかし、志半ばで病に倒れ、短い生涯を終えることとなりました。彼の死は、島原藩にとって大きな損失であり、その功績は長く語り継がれることとなりました。

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