松平忠質

松平忠質（まつだいら ただかた）は、江戸時代後期の文化期から幕末にかけて生きた旗本であり、五井松平家の15代当主としてその名を知られています。彼の石高は5500石余であり、これは当時の旗本としては比較的大きな規模でした。

文化6年（1809年）2月4日、忠質は三河吉田藩の3代藩主である松平信明の十一男として、江戸辰ノ口の吉田藩上屋敷で生を受けました。幼少期を吉田藩邸で過ごした後、文化9年（1812年）8月27日に旗本・松平忠元（後の忠考）の養子となります。この養子縁組は、忠質の人生における大きな転換点となりました。

文政2年（1819年）閏4月13日、忠質は吉田藩邸から養父である松平忠元の居宅、五井松平邸へと居を移します。そして文政3年（1820年）に養父・忠元が亡くなると、その年の9月4日に家督を相続し、五井松平家の当主となりました。

家督を継いだ後、忠質は幕府の役職を歴任します。天保2年（1831年）7月24日には火消役を拝命し、江戸の防火に貢献しました。さらに、天保5年（1834年）9月25日には百人組頭に就任し、幕府の警備体制の一翼を担いました。しかし、天保6年（1835年）7月24日、忠質は眼病を患い、そのために御役御免となり、職を辞することとなります。

天保11年（1840年）8月4日、忠質は隠居を決意し、嫡男である忠凱に家督を譲りました。隠居後も、五井松平家の一員として、その動向を見守り続けたと考えられます。

文久元年（1861年）8月15日、松平忠質は53歳でこの世を去りました。彼の生涯は、旗本としての職務を忠実に果たし、五井松平家の家名を守り続けたものとして評価されています。

参考文献

『寛政譜以降旗本家百科事典』第5巻
『豊橋市史』第6巻

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