百人組

百人組とは

百人組は、江戸幕府に置かれた特殊な組織で、鉄砲足軽で構成された部隊です。25騎組、伊賀組、根来組、甲賀組の4組からなり、各組に100人ずつの鉄砲足軽が配属されていました。組頭は各鉄砲隊の長を務めました。

特殊な編成

通常、鉄砲隊は先手組のように20人から50人程度が備に配属されますが、百人組は文字通り100人で構成されていました。初期には、伊賀、甲賀、根来といった鉄砲扱いに長けた地域の者が召し抱えられました。伊賀組と25騎組は1601年に編成されましたが、伊賀同心はそれ以前の1590年に服部正成組下に置かれました。また、甲賀組は1597年、根来組は1585年に編成され、成瀬正成が組頭を務めました。25騎組については史料が少なく、大久保組とも呼ばれていたという説がありますが、由来ははっきりしていません。

これらのことから、百人組は通常の鉄砲隊とは異なり、高い火力を有する独立部隊として編成されたと考えられます。

江戸城防衛の要

徳川家康は、江戸城が万が一陥落した場合、内藤新宿から甲州街道を通り、八王子を経て甲斐の甲府城に逃れるという計画を立てていました。百人組は、この非常時に動員される鉄砲隊であり、四谷や内藤新宿周辺に配置されていました。

平時とツツジ栽培

平時には、百人組は主に江戸城大手三之門に詰めていましたが、将軍が寛永寺や増上寺に参拝する際には山門前を警備しました。しかし、平和な時代が続くと、仕事も収入も少なくなりました。そこで、宝暦年間頃から、組屋敷の敷地を利用してツツジの栽培を内職として始めました。

百人組が育てたツツジは評判を呼び、江戸市中で需要が高まるにつれて、大規模に栽培されるようになりました。その美しさから、花の名所として遊歴雑記、江戸名所図会、江戸名所花暦などの書籍にも取り上げられています。第二次世界大戦後、ツツジの大規模栽培は見られなくなりましたが、ツツジは新宿区の花として制定され、その歴史を今に伝えています。

関連項目

百人町（東京都新宿区にある地名）
八王子千人同心
ケントゥリア

外部リンク

『百人組』 - コトバンク

もう一度検索