松平親貞 (大草松平家)

松平親貞（まつだいら ちかさだ）は、戦国時代の三河国（現在の愛知県東部）で活躍した武将であり、大草松平家の2代目当主を務めました。

出自と活動

親貞は、松平氏の庶流に生まれ、岡崎城主であった西郷氏の跡を継承した松平光重の嫡男として生まれました。延徳4年（1492年）には、父である光重と連名で、額田郡蓬生の武士・小島正秀に対し、同郡生平郷に所領を宛がっています。また、明応5年（1496年）には、菅生の満性寺に領地を寄進するなど、領主としての活動を行っていました。

親貞は父から岡崎城主を譲られたと考えられており、文亀元年（1501年）には、大樹寺で行われた安祥城主・松平親忠の葬儀に参列しています。その直後、松平一族によって作成された大樹寺への禁制には、「岡崎左馬允親貞」として連署しており、一族の中でも重要な地位を占めていたことがうかがえます。

岡崎城譲渡と戦死

親貞には嗣子（跡継ぎとなる子供）がいなかったため、弟である信貞に岡崎城を譲ったとされています。永正8年（1511年）には、信貞が史料上に現れるようになります。

永正年間（1504年 - 1521年）には、駿河の今川氏親や伊勢宗瑞（北条早雲）による三河侵攻が激化し、松平氏は辛うじてこれを退けていました。親貞は、この戦乱の最中に戦死したと考えられています。当時の三河は、今川氏や伊勢氏などの有力な勢力に脅かされており、親貞もその争いに巻き込まれた結果、命を落としたのかもしれません。

参考文献

村岡幹生「大草・岡崎松平家の光重・貞光父子と初期の形原松平家」『愛知県史研究』 12巻、愛知県、2008年。 
新編岡崎市史編集委員会 編『新編岡崎市史』 中世、新編岡崎市史編さん委員会、1989年。 
新編岡崎市史編集委員会 編『新編岡崎市史』 史料 古代中世、新編岡崎市史編さん委員会、1983年。 
林英夫 編『愛知県の地名』平凡社〈日本歴史地名大系〉、1981年。ISBN 978-4-582-91038-4。

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