松平頼恭

松平頼恭：高松藩中興の祖、その生涯と業績

松平頼恭（まつだいら よりたか）は、江戸時代中期の大名であり、讃岐高松藩の第5代藩主として知られています。彼は、藩の財政再建と産業振興に尽力し、「高松藩中興の祖」と称えられています。

生涯

正徳元年（1711年）に陸奥国守山藩主・松平頼貞の五男として生まれた頼恭は、高松藩の第4代藩主・松平頼桓の養子となり、元文4年（1739年）に頼桓の死去に伴い、29歳で家督を継承しました。

当時の高松藩は、慢性的な水不足に加え、火災や凶作が頻発し、財政は逼迫していました。この状況を打開するため、頼恭はまず質素倹約を徹底し、藩士の禄を削減するなど、徹底した財政再建策を講じました。しかし、相次ぐ凶作により状況は好転せず、藩札を発行するなどの対策も効果を発揮しませんでした。

そこで頼恭は、藩の収入を増やすため、家臣の平賀源内に薬草栽培を命じました。また、当時貴重品であった砂糖の栽培研究にも取り組みました。さらに、塩田を開発して塩の生産量を増加させるなど、様々な産業振興策を推進しました。領民の声を聞くための投書箱を設置するなど、領民との対話も重視しました。

宝暦9年（1759年）には、将軍・徳川家重の右大臣転任に伴う朝廷への使者として選ばれましたが、幕府内での序列を巡る駆け引きの結果、最終的にはその役目を務めることとなりました。

明和8年（1771年）に61歳で死去し、跡を長男の頼真が継ぎました。

人物・逸話

頼恭は、藩政に尽力した名君として領民から深く敬愛され、その功績から「高松藩中興の藩主」と称えられました。

彼は本草学にも造詣が深く、参勤交代で大坂に立ち寄る際には、平賀源内に薬草を探させ、そのために滞在が長引き、参勤の費用がかさんでしまったという逸話も残っています。また、頼恭の命により、魚類を描いた『衆鱗図』、鳥類図鑑『衆禽画譜』、植物図鑑『衆芳画譜』などの図鑑が製作されました。

平賀源内が田沼意次に召し出された際、頼恭は源内を今後一切召し抱えないよう、全国の大名に回状を送ったという説もあります。

系譜

正室：八代姫（細川宣紀七女）
長男：松平頼真
側室：由宇（峯岸氏）
長女：繁
側室：利濃（中島氏）
次女：元
側室：半（荒川氏）
四男：松平頼起
五男：松平頼昌
側室：宮武氏
* 四女：安

まとめ

松平頼恭は、高松藩の財政再建と産業振興に尽力し、藩の立て直しに大きく貢献しました。その功績は今日まで語り継がれ、「高松藩中興の祖」として讃えられています。彼のリーダーシップと実行力は、現代においても学ぶべき点が多くあります。

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