松木弘

松木 弘（まつき ひろむ）は、1879年（明治12年）4月11日に生まれ、1967年（昭和42年）10月15日に永眠した、日本の政治家であり弁護士です。新潟県新発田町（現在の新発田市）に生まれ、法曹界から政治の道を歩みました。

青年期、松木弘氏は勉学のため上京し、1898年（明治31年）に東京法学院（後の中央大学）を卒業しました。翌1899年（明治32年）には司法官試補試験に合格し、弁護士資格を取得。当時、著名な弁護士であった鳩山和夫（後の衆議院議長、鳩山一郎の父）の事務所で実務経験を積みました。数年後、1903年（明治36年）には故郷である新潟県に戻り、弁護士事務所を開業します。

郷里に戻った松木氏は、弁護士としての活動と並行して、地方政治にも積極的に関わるようになります。新潟市会議員、そして新潟県会議員を歴任し、特に県会議員は4期にわたってその職を務めました。また、新潟県弁護士会の会長も務めるなど、法曹界における指導的な立場にもありました。これらの地方での活動を通じて、松木氏は新潟県における政治的な基盤を固めていきました。

国政への進出は、1932年（昭和7年）の第18回衆議院議員総選挙においてでした。新潟2区（当時）から立憲政友会の公認候補として立候補し、初当選を果たしました。その後、衆議院議員として活動を続けますが、政友会が解散を迎えると、当時の鳩山一郎が率いていた政治グループである同交会に加わりました。第二次世界大戦中の1942年（昭和17年）に行われた翼賛選挙では、大政翼賛会の非推薦候補として出馬しましたが、議席を失いました。

戦後、日本の政治情勢は大きく変化します。1945年（昭和20年）、日本自由党が結成されると、松木氏はその新潟県支部長に就任し、政界復帰への足がかりとしました。続く1946年（昭和21年）の総選挙、1947年（昭和22年）の総選挙には立候補を見送りますが、1947年（昭和22年）に行われた第1回新潟県知事選挙に挑戦しました。しかし、この選挙では当選を果たすことはできませんでした。

同年12月、新潟1区で行われた衆議院議員補欠選挙に立候補し、当選。再び国政の舞台に復帰しました。1949年（昭和24年）の第24回衆議院議員総選挙でも再び議席を獲得し、衆議院議員として通算5期務めることになります。1952年（昭和27年）の総選挙には出馬しませんでした。

その後も、松木氏は盟友である鳩山一郎の政治動向に深く関わります。自由党を離党して日本民主党の結成に参加し、さらに1955年（昭和30年）に保守合同によって自由民主党が結成されると、その新潟県支部連合会の最高顧問に就任しました。新潟県政界における重鎮として、後進の指導にも尽力したと推察されます。

長年にわたり弁護士、そして政治家として活動した松木弘氏は、1967年（昭和42年）10月15日、88年の生涯を閉じました。彼の歩みは、明治から昭和にかけての激動期における日本の、特に地方における政治と法曹界の変遷を映し出しています。

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