松本俊郎

松本俊郎

松本俊郎（まつもと としろう、1952年5月22日 - ）は、日本の経済史学者。放送大学岡山学習センター所長、岡山大学名誉教授。

略歴

東京都出身。1975年に一橋大学社会学部を卒業後、1980年に同大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得満期退学。大学院では中村政則教授の指導を受けた。その後、岡山大学経済学部に講師として着任し、1984年に助教授、1993年に教授へと昇進した。2004年から2006年までは経済学部長を務め、2006年からは社会文化科学研究科比較社会文化学専攻の教授として教鞭を執った。2018年に岡山大学を定年退任し、名誉教授の称号を得るとともに、放送大学岡山学習センターの所長および特任教授に就任した。

研究業績

松本俊郎の研究は、中国経済史、特に満州国（現在の中国東北部）の経済構造と、その後の新中国への再編過程に焦点を当てている。満州国時代の経済は、日本の資本主義との関係の中でどのように形成され、変容したのか、また、戦後の社会主義体制下でどのように再編されたのかという問題を、鞍山鉄鋼業を事例に詳細に分析した。

2001年には、博士論文「「満洲国」から新中国へ 鞍山鉄鋼業からみた中国東北の再編過程 1940～1954」で一橋大学から経済学博士号を授与された。この研究は、満州国時代の経済構造と、戦後の中国における社会主義経済への移行という、歴史的に重要な転換期を、具体的な産業事例を通して解明した画期的な業績として評価されている。2000年には、この博士論文の内容をまとめた著書『「満洲国」から新中国へ 鞍山鉄鋼業からみた中国東北の再編過程 1940～1954』で、日経・経済図書文化賞を受賞。

著書

松本俊郎は、以下の著作を発表している。

『侵略と開発 日本資本主義と中国植民地化』 御茶の水書房、1988年
『「満洲国」から新中国へ 鞍山鉄鋼業からみた中国東北の再編過程 1940～1954』 名古屋大学出版会、2000年



これらの著書を通じて、松本俊郎は、日本資本主義と中国における植民地化の関係、満州国における経済構造、そして戦後の社会主義体制への移行という複雑な歴史的過程を、経済史の視点から深く掘り下げた研究を展開している。その研究は、現代中国の経済的発展を理解する上で重要な貢献となっている。



松本俊郎の研究は、経済史研究者だけでなく、中国研究や国際関係研究に携わる人々にとっても重要な知見を提供しており、その業績は、学術界だけでなく、広く社会からも注目されている。

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