松本剛吉

松本剛吉について

松本剛吉（まつもと ごうきち）は、1862年に兵庫県丹波市で生まれた政治家で、衆議院議員及び貴族院議員として活動しました。彼は元々松元剛吉という名を持ちましたが、後に松本という姓を名乗るようになりました。松本の生涯を通じて、彼は多くの政界の裏側を見てきた人物で、その経験は彼の著作『松本剛吉政治日誌』に色濃く残されています。

彼は丹波国氷上郡柏原町に今井源左衛門の四男として生まれ、後に松元十兵衛の養子となりました。教育を受ける中で、中村正直の同人社で学ぶことができたのは、彼のその後のキャリアにとって重要なステップとなりました。1884年には神奈川県警部に任命され、その後は埼玉県警部や逓信属を歴任しましたが、1894年にこれらの公職から離れました。

退官後、松本は第1次大隈内閣の林有造逓信大臣の秘書官として政界に戻り、その後も第4次伊藤内閣の林農商務大臣の秘書官を務めました。1904年の第9回衆議院議員総選挙に出馬し、見事当選を果たしました。以降、彼は4回にわたって当選し、寺内内閣では田健治郎逓信大臣の秘書官としての役割を担いました。田が台湾総督に転任した際には、その総督秘書官としても貢献しました。

1927年に貴族院議員に勅選されると、松本は研究会に所属し、1929年に死去するまでこの職に在任しました。その傍ら、徴兵保険株式会社や東京鉄道株式会社の取締役としても活動していました。

『松本剛吉政治日誌』

松本は多くの有力政治家との交流を持っており、特に山縣有朋や西園寺公望、原敬といった人物との関わりが広くありました。彼は政界の情報を把握していたため、これらの政治家の情報係としても機能していました。彼の記した日誌は、1912年から1928年までの期間にわたるもので、1959年に『大正デモクラシー期の政治 : 松本剛吉政治日誌』として発表されました。この書籍は、原敬日記や原田熊雄日記とともに、当時の日本における政治状況を理解するための重要な資料と見なされています。

また、『松本剛吉自伝『夢の跡』』も出版社から刊行されており、彼の人生や思想について深く知ることができる貴重な文献です。さらに、松本に宛てられた書簡のいくつかは、国立国会図書館憲政資料室に寄贈されており、彼に関連する資料はマイクロフィルムとして一般に公開されています。

栄典と位階

松本剛吉は、彼の死去からの数カ月後の1929年に、正五位の位階を与えられました。このように、彼の政治的な活動は高く評価され、今でも彼に関連する文献や資料が多く存在しています。

彼の足跡は、日本の政治史において欠かせないものであり、松本剛吉の政治日誌は、当時の政情や政界の動向を知るための貴重な資料となっています。

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