松本好雄

松本好雄：実業家、愛棋家、そして競馬界の巨匠

松本好雄氏は、1938年生まれの日本の実業家であり、誰もが知る著名な馬主です。株式会社きしろの代表取締役会長として、世界シェア4割を誇る大型船舶用ディーゼルエンジンのクランク軸などの産業機械製造を率いる一方、将棋のアマ六段という顔も持ち合わせています。

その多様な才能は、ビジネス界にとどまりません。将棋棋士の内藤國雄九段とは長年の知己であり、内藤氏の提案がきっかけとなり、2005年から女流棋戦『きしろ杯争奪関西女流メイショウ戦』のスポンサーを務めています。社会貢献活動も積極的に行っており、2007年には紺綬褒章、2010年には旭日小綬章を受章しています。政治面においても、森喜朗元首相の紹介により、西村康稔衆議院議員の後援会長に就任するなど、幅広い人脈と影響力を持っています。

競馬界における卓越した功績

松本氏の真骨頂は、何と言っても馬主としての活動です。日本中央競馬会（JRA）に登録する大馬主として、その名は競馬ファンに広く知られています。勝負服は胴青、桃襷、袖桃という特徴的なデザインで、地方競馬の浦和競馬所属騎手である吉本隆記騎手も、松本氏から許可を得て同じデザインの勝負服を使用しています。

冠名として用いられる「メイショウ」は、「明石の松本」に由来しており、同時に「名将」を意味する言葉でもあります。これは松本氏が明石市出身であることにちなみ、その名を冠した競走馬たちが数々の栄光を掴むことを象徴しています。

1974年に馬主登録して以来、個人馬主としては異例となる一世代50頭近くの馬を所有する規模にまで成長しました。2009年9月からは日本[[馬主協会連合会]]会長を務め、現在は名誉会長として業界を牽引しています。所有馬の多くは栗東トレーニングセンターに入厩していますが、一部は美浦トレーニングセンターの厩舎にも預託されています。さらに、松本氏の妻である和子氏や、息子の好隆氏も馬主として活動しており、家族ぐるみで競馬に関わっていることがわかります。好隆氏は、2015年のクイーンステークスを制したメイショウスザンナを所有しています。

松本氏の馬主活動の特徴として、中小規模の牧場との深い繋がりを重視している点が挙げられます。大牧場出身の良血馬が主流の日本競馬界において、松本氏は良血とは言い難い、比較的安価な馬を多く所有しています。馬選びは自身が行わず、調教師や牧場関係者の意見を尊重して馬を購入しており、後にGI競走を制するような名馬も、デビュー戦で初めて目にするということがありました。この姿勢は、中小規模の牧場関係者から「メイショウさん」と慕われ、日高地方には松本氏を囲む会「三愛会」が存在するほど親しまれているというエピソードからも窺えます。また、競走馬として活躍できなかった牡馬は、誘導馬に転向させるなど、馬への深い愛情と配慮を感じさせます。

GI競走勝利という大きな目標達成には、メイショウドトウの2001年宝塚記念制覇まで28年を要しましたが、その後はメイショウボーラー、メイショウサムソンなど、数々のGIホースを輩出し、日本競馬界に大きな足跡を残しています。リーディング上位の馬主の中には、調教師に対して出走レースや騎手起用などに口出しする者もいますが、松本氏は「自分は馬のことは分からない」と、調教師への全面的な信頼を置いています。ただし、メイショウサムソンの凱旋門賞挑戦時には、騎手を石橋守氏から武豊氏に変更するなど、重要な局面では自身の意思を示すこともあります。2010年代以降は、武豊氏や武幸四郎氏を主戦[[騎手]]として起用するなど、積極的な姿勢も見せています。

松本氏の座右の銘は「人がいて、馬がいて、そして又、人がいる」です。この言葉は、人との繋がりを大切にし、馬と共に歩む氏の生き様を表していると言えるでしょう。

主な所有馬

松本氏は数多くのGI級競走優勝馬や重賞競走優勝馬を所有しており、その活躍は日本競馬史に刻まれています。代表的な競走馬として、メイショウドトウ、メイショウボーラー、メイショウサムソン、メイショウマンボ、メイショウダッサイ、メイショウハリオなどが挙げられます。これらの競走馬は、それぞれが個性的な走りでファンを魅了し、松本氏の馬主としての力量の高さを証明しています。

松本好雄氏の功績は、ビジネス、将棋、そして競馬と、多岐に渡っています。その成功の秘訣は、人との繋がりを大切にする姿勢と、何事にも誠実に向き合う真摯な態度にあると言えるでしょう。

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