松本正道

人物概要

松本 正道（まつもと まさみち）は、1950年に広島県に生まれた日本のシネマテーク・ディレクターです。長年にわたり、日本の映画文化の振興と普及に多角的に貢献してきました。現在は、アテネ・フランセ文化センターの主任を務めるほか、映画美学校の代表理事、コミュニティシネマセンターの理事、川喜多記念映画文化財団の評議員、そして日本大学文理学部の非常勤講師を兼任するなど、幅広い分野で活動を展開しています。

来歴と活動

アテネ・フランセ文化センターでの活動

松本氏は、1979年にアテネ・フランセ文化センターの主任に就任して以来、約40年以上にわたり、世界各国の多様な映画を年間200本を超えるペースで紹介し続けています。この活動を通じて、それまで日本で触れる機会の少なかったダニエル・シュミット、ジャック・リヴェット、ストローブ＝ユイレといった先鋭的な作家や、時代を超えて愛される古典作品などを系統的に紹介し、日本の観客に新たな視点を提供してきました。また、1991年から1998年にかけて開催された「淀川長治映画塾」の企画を担当するなど、著名な映画人との協働も行いました。さらに、国内外の映画監督を招いたシンポジウムや、特定の作品・作家に関する研究会など、多数の映画関連イベントのコーディネーターを務め、映画文化に関する議論や交流の場を提供しています。（なお、苗字が同じですが、アテネ・フランセ校長の松本悦治氏とは血縁関係はありません。）

映画美学校の設立と教育活動

1997年には、ユーロスペース代表の堀越謙三氏と共に、映画美学校を設立しました。この学校では、現役で活躍する映画監督をはじめとする専門家を講師に迎え、映画製作を含む多角的な映像芸術の教育機会を提供しています。次世代の映画人を育成するための重要な機関として、日本の映画教育の一端を担っています。

コミュニティシネマ支援

日本の地方における映画上映活動の支援にも力を注いできました。コミュニティシネマ支援センター（現在のコミュニティシネマセンター）では運営委員長を、現在は理事を務め、全国各地での映画上映を支える活動に従事し、地域における映画文化の振興に尽力しました。

その他の活動

長年の活動を通じて、多数の映画監督や映画関係者と深い親交を築いています。その交流の一端として、1999年に公開された黒沢清監督作品『大いなる幻影』には、俳優として出演もしています。また、映画に関する執筆活動も行っており、1994年には編著として『芸術経営学講座4 映像編』（東海大学出版会）を出版しています。

受賞と評価

松本氏の映画文化への長年の貢献は国内外で高く評価されています。2008年にはフランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章しました。翌2009年には、映画文化の普及・発展に貢献した個人・団体に贈られる第27回川喜多賞を受賞するなど、その功績は広く認められています。

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